出版社内容情報
幕末の「異才の人」、渡辺崋山の生涯に学ぶ。
一万石の小藩の財政を建て直し、49歳で自刃に至った渡辺崋山。藩政家、日本画家、蘭学者としても活躍した“異才の人”の生涯に学ぶ。
幕末に活躍した人物の中でも、ひときわ異彩を放つ渡辺崋山。
▼「遠近法」を取り入れて、日本美術史に新境地を開拓した画家として有名な彼だが、実はれっきとした大名家の家老である。
▼1万2千石の小藩ながら、東海の田原藩の経営再建に尽力し、農政家を招いて領民の生活安定に心を砕き続けた。その手腕は、天保の大飢饉でも領民に餓死者を出さず、幕府から唯一表彰を受けたことからも分かる。
▼崋山の才能は、それだけに止まらない。江戸藩邸では、高野長英や小関三英など、蘭学者との交流を通じて西洋の新知識まで蓄えた。まさに多才にして「異才の改革者」だったのである。更にその視野は日本を越えて世界にまで向けられたが、幕府の海防政策を批判した容疑で「蛮社の獄」に連座し、49歳で自刃に追い込まれてしまう。
▼幕末初期の改革者だった崋山は、いかに守旧派と闘い、自らの信念を貫き通したのか? 時代の先駆者の生涯に学ぶ一冊。
▼文庫オリジナル。
[ 1]崋山の改革理念
[ 2]嫌った藩主と意気投合
[ 3]農政家 大蔵永常を招く
[ 4]ユニークな産業振興策
[ 5]グローカリゼーションへの開眼
[ 6]鎖国の中の開国
[ 7]天保の妖怪ににらまれる
[ 8]儒教を国教にした幕府
[ 9]佐藤一斎と鳥居耀蔵
[10]江戸のミーちゃんハーちゃん
[11]原理と応用について
[12]心の発信地に
[13]崋山の書画の流麗さ
[14]江戸四百年への市民の力
[15]くるか、地方の時代
[16]崋山と大塩平八郎
[17]討幕力の源泉はカネへの注目
[18]尚歯会の段階的思考
[19]外部講師の研修意義
[20]崋山は反乱者ではない
[21]第三の生き方の探求
[22]柔軟思考は誤解される
[23]火のないところに立つ煙
[24]蛇に睨まれた蛙
[25]崋山逮捕される
[26]幕政批判の罪
[27]判決迫る
[28]人間のきずな
[29]他人に及ぶ責任の波
[30]深まる孤独感
[31]老中職への同情
[32]水に落ちた犬は石で打たれる
[33]ヒポクラテスへの思い
[34]改革中止に反対の声をあげる
[35]江戸から吹くイヤな風
[36]江戸時代は地方の首長が閣僚だった
[37]「分度」ということについて
[38]赤字の原因は江戸勤務
[39]江戸は魔の都か
[40]江戸の経費に幕府が注意
[41]江戸藩邸は東京事務所
[42]不忠不孝ゆえ幕碑無用
内容説明
日本美術史に新境地を開いた画風を生み出す一方、藩政家として東海の小藩・田原藩の経営再建に尽力した渡辺崋山―。蘭学者との交流を通じて西洋の先進知識を蓄えた多才にして「異才の人」は、幕府の海防政策を批判した容疑で、49歳で自刃に追い込まれる。幕末初期の改革者だった崋山は、いかに守旧派と闘い、自らの信念を貫き通したのか?時代の先駆者の生涯に学ぶ一冊。
目次
崋山の改革理念
嫌った藩主と意気投合
農政家 大蔵永常を招く
ユニークな産業振興策
グローカリゼーションへの開眼
鎖国の中の開国
天保の妖怪ににらまれる
儒教を国教にした幕府
佐藤一斎と鳥居耀蔵
江戸のミーちゃんハーちゃん〔ほか〕
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
本名、太田久行。1927年(昭和2)生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年(昭和54)、美濃部都知事の引退とともに都庁を去り、作家生活に専念。在職中に培った人間管理と組織の実学を、歴史と重ね合わせ、小説、ノンフィクションの世界に新境地を拓く。『暗い川が手を叩く』で第43回芥川賞候補。日本文芸家協会ならびに日本推理作家協会会員。1999年(平成11)、春の叙勲で勲三等瑞宝章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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