出版社内容情報
今から百年前の日本文学の興隆を細緻に描く。
永井荷風、尾崎紅葉、幸田露伴、藤村操、田山花袋、夏目漱石……今からちょうど百年前の日本文学の興隆を一月ずつ細緻に描いた意欲作。
今日まで読みつがれる数々の名作は、いかにして生まれたのか? 本書は、「近代日本文学」が誕生する瞬間をリアルに描いたドキュメント長篇評論。今からちょうど百年前の明治39(1906)年、「浪漫主義文学」が時代遅れになるとともに、新しい「自然主義文学」が本格的に開花する。
▼尾崎紅葉「金色夜叉」のブーム、永井荷風の文壇デビュー、田山花袋の「露骨なる描写」、夏目漱石「吾輩は猫である」の連載開始、島崎藤村の『破戒』自費出版――一般に「日本文学史不毛の時代」とされ、従来の文学史ではきちんと顧みられなかった明治32年から39年までの7年あまりの文壇事情を一月ずつ細緻に描く 。
▼縁遠くて小難しいものと思われがちな古典的名著も、当時の人たちにとってはきわめて身近で切実なものであった。時代の空気、多彩な人間模様……著者の周到な資料収集と卓越した筆力によって、読者はまるで同時代を生きているかのような感覚を覚えるであろう。
●明治三十二(一八九九)年 「金色夜叉」のブーム―若き文豪尾崎紅葉
●明治三十三(一九〇〇)年 新たな浪漫主義の興り―與謝野鐵幹『明星』創刊
●明治三十四(一九〇一)年 「個人主義」への転向―高山樗牛「美的生活」
●明治三十五(一九〇二)年 海外に向かう文学者たち―島村抱月「洋行」
●明治三十六(一九〇三)年 思想のための死―藤村操「巖頭之感」
●明治三十七(一九〇四)年 自然主義の萌芽―田山花袋「露骨なる描写」
●明治三十八(一九〇五)年 日露戦争と新しい文学―夏目漱石「吾輩は猫である」
●明治三十九(一九〇六)年 自然主義の開花と漱石そして二葉亭の復活
内容説明
尾崎紅葉「金色夜叉」のブーム、永井荷風の文壇デビュー、田山花袋の「露骨なる描写」、夏目漱石「吾輩は猫である」の連載開始、島崎藤村の『破戒』自費出版―本書は、従来の文学史ではきちんと顧みられなかった明治三十二年から三十九年までの文壇事情を丹念に追った「近代日本文学」誕生のドキュメント。今から丁度百年前の明治三十九(一九〇六)年、浪漫主義文学が時代遅れになるとともに、新しい自然主義文学が本格的に開花する。今日まで読みつがれる数々の名作は、いかにして生まれたのか。
目次
明治三十二(一八九九)年 「金色夜叉」のブーム―若き文豪尾崎紅葉
明治三十三(一九〇〇)年 新たな浪漫主義の興り―與謝野鐵幹『明星』創刊
明治三十四(一九〇一)年 「個人主義」への転向―高山樗牛「美的生活」
明治三十五(一九〇二)年 海外に向かう文学者たち―島村抱月「洋行」
明治三十六(一九〇三)年 思想のための死―藤村操「巌頭之感」
明治三十七(一九〇四)年 自然主義の萌芽―田山花袋「露骨なる描写」
明治三十八(一九〇五)年 日露戦争と新しい文学―夏目漱石「吾輩は猫である」
明治三十九(一九〇六)年 自然主義の開花と漱石そして二葉亭の復活
著者等紹介
坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。『東京人』の編集長を経て、書評、コラム、評論など執筆活動を始める。『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』(マガジンハウス)で第17回講談社エッセイ賞受賞。雑誌『en‐taxi』の編集も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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