出版社内容情報
気鋭の評論家による本格評伝、ついに完結!
敗戦は松下幸之助をどう変えたのか? すべてを失った失意のどん底から高度成長、そして大往生までを描ききった本格評伝の完結編。
「よい製品を大量に、安く、水道水と変わらないぐらいの手軽な値段で提供することによって、日本はもとより世界から貧困をなくす」……これが松下幸之助が掲げた「水道哲学」という経営理念である。実際、今日の日本は世界で最も豊かな国になったといってもいい。しかし、松下幸之助は豊かさの追求だけで満足していたのか。むしろ豊かさがもたらす弊害や危険について、もっとも深く考えていたのではないか。その視点から、著者はあえて『滴みちる刻きたれば』という文学的タイトルをつけて、読者に問題提起したのが本シリーズ4部作である。
▼最終巻の本書は、戦後、GHQから追放命令を受けたあと、松下電器を再建し、国際企業に育て上げていく過程を克明に追うとともに、経営の第一線を退いてからつくった松下政経塾や幻となった新党構想などを描くことで、豊かさを実現した日本社会の病をいち早く見抜いた松下幸之助の深い危惧を明らかにした力作である。
●第1章 組合結成
●第2章 三洋電機
●第3章 滞納王
●第4章 朝鮮戦争
●第5章 渡米という体験
●第6章 繁栄のアメリカ
●第7章 フィリップス社
●第8章 電化元年
●第9章 テレビの時代
●第10章 高度経済成長
●第11章 東京オリンピック
●第12章 熱海会談
●第13章 営業本部長代行
●第14章 ダム経営
●第15章 進歩と調和
●第16章 二重価格問題
●第17章 「人間宣言」
●第18章 『人間を考える』
●第19章 『道』という思想
●第20章 崩れゆく日本
●第21章 山下跳び
●第22章 松下政経塾
●第23章 米寿の志
●第24章 新党運動
●第25章 最後の日々
●第26章 長逝
内容説明
歴史に名を残す経営者の発想とは?哲学とは?そして宿題とは?気鋭の評論家が描く決定版評伝、感動の完結編。
目次
組合結成
三洋電機
滞納王
朝鮮戦争
渡米という体験
繁栄のアメリカ
フィリップス社
電化元年
テレビの時代
高度経済成長〔ほか〕
著者等紹介
福田和也[フクダカズヤ]
昭和35年、東京に生まれる。慶應義塾大学文学部仏文学科卒業。同大学院研究科文学専攻修士課程修了。慶應義塾大学教授。文芸評論家として文壇、論壇で活躍中。「次代を考える東京座会」(PHP研究所)のメンバーも務める。『日本の家郷』(新潮社)で三島由紀夫賞、『甘美な人生』(新潮社)で平林たい子文学賞、『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢』(文藝春秋)で山本七平賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。