出版社内容情報
記紀に<天孫降臨の地>と記される高千穂。神話が現実の場におきかえられようとする時何が起こるのか? 近代日本の<国家の風景>を描く。 『古事記』『日本書紀』で天孫降臨の舞台として語られる高千穂。神話の高千穂では実際の「どこ」がイメージされていたのかは、江戸時代以来、多くの学者により論争されてきた。そして、明治維新以降、国家主義的気運の高まりの中で、さまざまな思惑から、「神話的空間」を実在の地名に「現実化」しようとして奔走する人々が現れた。 宮崎県と鹿児島県の対立。紀元前2600年を記念した文部省の聖蹟調査、そして宮崎県の「八紘一宇基柱」の建設。そして敗戦。「国家の始原」という「幻想」に駆り立てられた人々は、その必然の成り行きとして「幻滅」し、その結果、戦後の日本においては、高千穂の「物語」は語られなくなった、と著者は論ずる。 本書は、前著『王権の海』(角川選書)で、古代日本の形成過程と高千穂の関わりを読み解いた著者が、近代日本の国家主義の象徴的風景として高千穂像を、歴史地理学における風景論の立場から、描き出す。 ●序章 高千穂??「国家」を背負った風景 ●第1章 高千穂伝承??始原という言葉 ●第3章 高千穂はどこに??それぞれの想念 ●第3章 聖蹟調査と高千穂宮??「地方」と「国家」 ●第4章 八紘之基柱??逸脱する表現 ●第5章 よみがえる「聖」の記憶??平和の塔と東京オリンピック
内容説明
『古事記』『日本書紀』で天孫降臨の舞台として語られる高千穂。明治維新以後、国家主義的気運の高まりの中で、「神話的空間」を実在の地名に「現実化」しようとして奔走した人々がいた。宮崎県と鹿児島県の対立、文部省の聖蹟調査、「八紘之基柱」の建設。人々は「幻想」に駆り立てられ、幻滅し、その結果、戦後の日本で、高千穂の「物語」は語られなくなった。高千穂を近代日本の象徴的風景とする視点から、人が幻想―神話と対峙することの難しさと意味を読みとる力作評論。
目次
序章 高千穂―「国家」を背負った風景
第1章 高千穂伝承―始原という幻想
第2章 高千穂はどこに―それぞれの想念
第3章 聖蹟調査と高千穂宮―「地方」と「国家」
第4章 八紘之基柱―逸脱する表現
第5章 よみがえる「聖」の記憶―平和の塔と東京オリンピック
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
★★★★★
KJ
可兒
-
- 和書
- 日本古代史地名事典