出版社内容情報
「やさしい」「純粋」「まじめ」ゆえに抱えてしまう心の危機とは? 傷つきやすい心理を読み解き、未成熟から脱皮する処方箋を説く。 本書のテーマは、他人との関係において傷つくことを恐れて「いい人」になってしまう結果、自分を失い、自分の本音すらわからなくなる状況を変革したいというところにある。「ノー」といえない人、怒りを表せない人、使命感の強い人……。ひと言でいえば「やさしい」のである。 しかし、精神科医である著者は、そのやさしさの裏側にひそむ「弱さ」を指摘する。「私はなまじ人が良いために、世の中で成功できない」などと弁明する人は、うつ病や不安障害に陥りやすい。そのような人々は、あるいは「自己愛性人格障害」「回避性人格障害」などと分析することもできる。 また、ほめられ続けて育つ「いい子」の危機、不倫という勘違いのやさしさに溺れた女性の話など、数々の症例を紹介する。 本当の「いい人」になるためには、生きる技術、生きるストラテジー(戦略)を身につけることが必要なのである。 多くの現代人にとって思いあたる節のある、精神分析の書である。
内容説明
「やさしさ」と「弱さ」の精神分析。
目次
序章 「いい人」であることの不安と自信
第1章 「やさしさ」と「弱さ」の精神分析
第2章 心の病にかかりやすい性格
第3章 「こころの専門医」を訪ねる
第4章 傷つきたくない「いい子」の危機
第5章 「いい人」よりも「必要な人」となるために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
36
【図書館】典型的な精神科医が書いた本という印象。所謂「個人的」な精神状態とその本人を取り巻く極めて短い近傍について丁寧な観察はされていても、根本的になぜ人が「いい人」になり、結果的にそれが精神的な病までなるのか、社会的な背景と人間との空間に深く切り込んでの議論はない。だって、誰も好んで「いい人」になんかなりたくないのは一目瞭然でしょう?「みんな『いい人』になっているから日本の社会が回っているのかもしれないよ、先生」って言われたら彼はどう応えるだろう?皆「いい人」になるのを止めることができたら革命が起こる。2014/02/24
ニョンブーチョッパー
2
★★★☆☆ 25年も前の本なので、古くなっている部分はあるのかもしれない。精神科医は、病院ではなく人で選ぶ、患者は治りたいという意志を持つことが回復に向かう鍵、ボランティア学校関係のコミュニティ、恋愛、親としての役割などでいい人から必要とされる人へ変わる、などはなるほど。2025/05/11
のりこ
2
20年近く前の本なので、今とは変わっている部分も多いとは思いますが、「いい人」は心を病むものだと思います。いい人でない人はきっと自分の欲求に、良くも悪くも素直で裏表がなく物事を深く考え込まないタイプなんだと思います。でも悲しいかな…日本人は「いい人」タイプの気使いの人が多いですよね。家族から学校から人から、会社からはみ出ることを極端に恐れる。それが日本人の良さでもあり、弱点でもある。難しい部分ではありますが、何事も考え方の見方次第ではないかな?なんて思うのです。2017/10/10
サスケ
1
★★☆☆☆2017/10/18
クプクプ
0
いい人でありたいと思う。でも、「弱さ」が理由でいい人をやっていると、病んでいくのだというお話です。そう、「自分は傷ついても、自分がよしとした主張を貫く強さを持ったやさしさ」を身につけていきましょう。2013/04/20
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