出版社内容情報
新たな推察から浮かび上がる武蔵の実像とは。
「剣聖」宮本武蔵像はあくまで後世の創作であり、実際は出自も半生も謎だらけだ。新たな推察と仮説から浮かび上がる武蔵の実像とは。
来年2003年度のNHK大河ドラマが『宮本武蔵』に決定した。宮本武蔵といえば、一般的に剣の道を究めたストイックな剣豪というイメージが定着している。ところが今日の武蔵像は、あくまで後世の映画や小説などで描かれた創作イメージであり、実際は出自も半生も謎だらけの人物なのをご存じだろうか。
▼そこで、剣聖などと崇め奉る現代日本人の武蔵像に異議を唱えるのが、練達の歴史作家である著者だ。本書では、古今の幅広い資料に基づき、新たな仮説と推察によって、武蔵の実像に迫るべく謎解きを試みている。
▼例えば、武蔵は本当に日本一の剣豪だったのか。武蔵が負けなかったのは相手が格下の者が多かったから。吉岡憲法や佐々木小次郎は有名剣客だが、吉岡の実力は疑わしく、小次郎に至っては巌流島の時、すでに七十歳近い老人であったらしい。老醜晒して仕官を無心したのが、日本一の剣豪でない何よりの証拠と断ずる著者の武蔵像には興味がそそられる。
[第1部]宮本武蔵の生涯
●乱世の剣と野望
●殺気と我執の青春
●壊滅! 京流吉岡一門
●勝負六十余度の真偽
●苦悩と漂泊の果てに
[第2部]宮本武蔵の謎と『五輪書』
●宮本武蔵10の謎
●『五輪書』にみる必勝の極意
内容説明
剣聖と称え、崇め奉る日本人の武蔵像に物申す!…乱世の戦国末期から、泰平の世へと向かう時代の転換期を駆け抜けた宮本武蔵。だが、今日の日本人が抱く武蔵像は、あくまで後世の小説・映画などの創作イメージによるものであり、実際は出自や半生も謎だらけだ。本書は練達の歴史小説家が、古今の資料に基づき、類まれな洞察力によって、武蔵の実像に迫る異色の歴史評論である。
目次
第1部 宮本武蔵の生涯(乱世の剣と野望;殺気と我執の青春;壊滅!京流吉岡一門;勝負六十余度の真偽;苦悩と漂泊の果てに)
第2部 宮本武蔵の謎と『五輪書』(宮本武蔵10の謎;『五輪書』にみる必勝の極意)
著者等紹介
早乙女貢[サオトメミツグ]
1926年、中国ハルビンに生まれる。68年、長篇歴史小説『僑人の檻』(講談社)で直木賞受賞。以降、直木賞作家として、旺盛な執筆活動に入る。著書400冊を超える。日本ペンクラブ・日本文芸家協会理事。著書に『会津士魂(全21巻)』(平成元年度・吉川英治文学賞)など
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感想・レビュー
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