出版社内容情報
信長の若き秘書官の数奇な生涯を描き上げる。 織田信長の小姓として、優秀な秘書官であった森蘭丸。本能寺で信長と共に果てるまでのわずか17年の数奇な生涯を描く、長篇歴史小説。 秀でた才知とその美貌で、織田信長の寵愛を一身に集めた、小姓・森蘭丸。彼は、明朗な性格から、織田軍団の諸将にも好感を持たれ、若いながらも着々と出世の階段を登り始めていた。しかし、彼の母である妙向尼は、熱心な一向宗信者であった。当時、信長と一向宗本山である石山本願寺は敵対関係にあり、激しい戦闘を繰り広げている最中であった。天下布武を推し進め一向宗を滅ぼそうとする信長を嫌悪する母・妙向尼。蘭丸は、主君への忠誠と母子の絆という、選ぶに選べない人間関係のあいだで苦悩する。そんな中、彼は、キリシタン大名高山右近の妹・真子に魅かれ、心から愛してしまう。母が異教のキリシタンを許すはずもない。蘭丸はいよいよ、深い葛藤の中にはまって行く……。 戦乱の世の中で、一角の者たらんと精励する若者の姿に、複雑な人間模様をからめ、いくつもの壁に健気に立ち向かう青春像を、見事に描き上げた、著者渾身の傑作長編。待望の文庫化。
内容説明
織田信長の寵愛を一身に集めた小姓・森蘭丸。しかし、彼の母は、信長の宿敵である本願寺に、深く信仰を寄せる。主君への忠誠と母子の絆の間で葛藤する蘭丸。そんな中で彼は、母の信仰と相容れぬキリシタンの娘を愛してしまった―。複雑な人間関係の綾に悩みながらも、その秀でた才知と克己心で、決して挫けず青春を燃やし続けた乱世の若者の姿を描く、傑作長編。