出版社内容情報
世界に覇を唱えた大英帝国。なぜ大国は滅びていったのか。ボーア戦争、第一次大戦等に潜む「精神的」要因を読み、緩やかで豊かな衰退の知恵を学ぶ。
内容説明
大国はいかにして主役の座を降りたのか。衰退の運命に敢然と立ち向かい、美しく幕を引いた人物たちの生き様を通し、「滅びの理」を描き出す。
目次
第1章 「パクス・ブリタニカ」の智恵
第2章 エリザベスと「無敵艦隊」
第3章 英国を支えた異端の紳士たち
第4章 帝国の殉教者ゴードン
第5章 「自由貿易」の呪縛
第6章 「ボーア戦争」の蹉跌
第7章 アメリカの世紀へ
第8章 改革論の季節
第9章 悲しみの大戦
第10章 ロレンスの反乱
第11章 “バトル・オブ・ブリテン”、そしてフル・ストップへ
第12章 旗の降りる日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
14
大英帝国の歴史が時系列に書かれており、衰亡のターニングポイントは第一章でまとめられています。全体的にわかりやすいですが、第三章は話の筋からずれているように感じました。2021/05/13
Hiro
9
傍目には第二次大戦後瞬時に消滅したかに見える、何百年も続いた大英帝国の終焉が、構造的な矛盾の積み重なりと、アメリカの戦略的な追い込みと、自国首脳陣の判断ミスの連鎖であった事が鋭く描かれます。大事な局面の、歴史的な意思決定に疑問を挟む姿勢は、中西輝政ならでは。ちなみにピークアウトの後、急縮小を続ける日本経済・社会の参考になるかな、なんて問題意識で読みましたが、イギリスよりも、オランダ、ヴェネツィアの事例の方が日本には示唆深いのかな、と感じます。2015/12/23
スプリント
4
植民地に依存し不均衡貿易を推し進める国に永続的な繁栄はなし。EUから離脱したイギリスの行く末が気になります。2018/01/30
まりえ
3
取り扱う時代は先日読んだウェールズ抗戦史の続きからにあたる。大国がなぜ衰退したかのかということを政治、文化、そしてこの国特有のエリート達の精神の変遷から紐解く。決して昔の話ではない。大国の座に着いた後他国に追い抜かされることを恐れ、自由貿易から保護貿易へと舵をきったことは今のアメリカの姿が重なるし、衰退することが分かっていながらも利権や既に成立している社会構造に阻まれ、必要な政策を実行することができないのは、今の日本と同じだろう。日本ではエリートに負のイメージがあるが、この国のエリート達は素晴らしかった。2018/01/28
脳疣沼
3
読んでいるとドキリとする記述がいくつもある。大英帝国の衰退はアメリカの衰退とも重なるし、日本の衰退とも重なる。 大国は大戦争で滅亡することはないが、小さな戦争をきっかけに滅亡のコースに乗ることはあるという話なんかはイラク戦争を思い出させる。また、衰退期においては、リベラルの混乱が見られるというのも日本の現状と同じである。いつの間にか保守が改革派になり、リベラルはその真逆になる。現実を直視できずに理念と成功体験に引き摺られてしまうのだが、これは国際情勢を把握できずに憲法9条を信仰してる日本のことである。2015/05/26
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