内容説明
2004年は、兵庫県芦屋市在住の画家、吉原治良をリーダーに「具体美術協会(以下、具体)」が結成されて満50年目にあたる。吉原の「人のまねをするな」「今までにないものをつくれ」という厳しい指導のもと、「具体」は、それまでの美術の概念にとらわれない奇想天外な発想で、ユニークな作品を数多く生み出した。その独創性は国内外で多くの注目を集め、戦後いち早く、欧米の美術運動と連動して国際的な活動を展開した。1972年、「具体」は吉原治良の死にともない解散したが、その後も人々の「具体」への関心は衰えず、むしろ活発さを増し、1980年代中頃から、国内各地の美術館や、スペイン、旧ユーゴスラヴィア、イタリア、ドイツ、そしてパリの美術館で、相次いで「具体」を回顧する展覧会が開かれてきた。そこでこの結成50周年を機に、18年間の活動をコンパクトにまとめた、いわば「具体」の入門書を出版することになった。本書が前人未到の美術グループ「具体」のたくましい実験精神、創造的エネルギーを再発見する手だてになると同時に、新たな「具体」論を促す一助になれば幸いである。
目次
「具体」ヒストリー(誕生と挑戦:初期「具体」1954‐1957;飛躍と発展:中期「具体」1957‐1965;成熟と終焉:後期「具体」1965‐1972;「具体」その後1972‐)
「具体」ガイド