内容説明
第一次世界大戦の初期、戦場の最前線に身を置く両軍の兵士たちが、自発的に休戦を決めた瞬間がありました。兵士たちは、てんでに武器を置くと、塹壕から上がり無人地帯に出て、敵兵を旧来の友人のように出迎えたのです。クリスマスプレゼントを交換し、互いの故郷について語りあい、なかにはサッカーの試合を楽しんだグループもありました。秘密のひきだしで見つけた一通の手紙。最前線で戦う兵士が妻にあてたその手紙には、信じられないような出来事が…。映画「Merry Christmas(原題)」原作。
著者等紹介
モーパーゴ,マイケル[モーパーゴ,マイケル][Morpurgo,Michael]
1943年、イギリスのハートフォード州生まれ。ロンドン大学キングス・カレッジ卒業。小学校教師を経て作家となり、とりわけ児童文学作品を数多く発表。この分野で、現代イギリスを代表する作家としての地位を確立している
フォアマン,マイケル[フォアマン,マイケル][Foreman,Michael]
1938年、イギリスのサフォーク州生まれ。王立美術学校で学んだ後、イラストや商業デザインの仕事をしながら絵本を創作。1983年、ケイト・グリーナウェイ賞を受賞
佐藤見果夢[サトウミカム]
1951年、神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。公共図書館に勤務の後、絵本や児童文学の翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃちゃ
117
凍てつく大地、真っ白な霜が降りたクリスマスの朝。その奇跡は起こった。向かい合う両軍の兵士が塹壕から姿を現して握手をする。イギリス軍とドイツ軍、立場を超えて兵士たちは酒を酌み交わし語り合い、サッカーの試合に興じる。それぞれが願うことは同じ、故郷に残してきた大切な家族のもとに帰ること。その思いに敵と味方の違いはない。別れた後、輝く星空の下で両軍からクリスマスキャロルの歌声が響く。1914年、戦場の最前線で実際に起きたひとときの安息。偶然手にした一通の手紙がもたらした、クリスマスの「世界で一番の贈りもの」2020/12/24
雪うさぎ
96
銃声の響きではなく、クリスマスキャロルの歌声が響く世界を、誰もが願っているのに戦争は起きる。戦死した夫からの最後の手紙を、妻はどんな気持ちで読んだのだろう。そこに記された奇跡のような出来事は、妻の心を慰めたろうか。そこに喜びはあっただろうか。戦場で起こったクリスマス休戦。しかし、私はやはり悲しい。年月を隔てたクリスマスの日、年老いて呆けてしまった妻の元に、再び手紙が戻る。主人公を夫と思い込むシーンに胸が熱くなる。愛する夫が無事に帰ってくること。それこそが、世界で一番の贈り物ではないのかと、私は確信した。2015/12/02
ぶんこ
72
第一次世界大戦での実話を基にした絵本でした。ドイツとイギリスの最前線でのクリスマスの日。ドイツ側から白旗が上がり、銃を持たない兵士たちが出てきて、共にクリスマスを祝おうとの提案。お互いの食料を分かち合い、サッカーをして一緒のひと時を過ごします。ドイツもイギリスも兵士たちには家族がいて、クリスマスには家族で祝いたかったでしょう。誰一人として、誰かを殺めたりしたくない。そんな叫びが聞こえるようでした。絵も素晴らしかったです。薄い本ですが、心にはあつく伝わる内容でした。2016/11/11
ユー
71
こんな奇跡が起きるものなのだ、と感動。多くの言葉や説明は、要らない。全人類共通の「希望」である。2019/06/30
けんとまん1007
68
戦争。これほど、人間性を無視したものはない。そんな中で起きた奇跡。そこには、人間の可能性というものも感じることができる。前線の兵士も、故郷に帰れば、一人の人として、職業を持ち、家族とともにある暮らしを持っている。その実感が、ますます遠のくように思う最近。机上でのゲームに似た要素すらあるではないかと思う。敵味方なく、ともに人として共有できるものがある。そこから先に、希望の光があるはずと思う。2016/01/24
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