出版社内容情報
獄中で乙女ちっくな絵を描いた永田洋子、森恒夫の顔を「かわいい」と言ったため殺された女性兵士。連合赤軍の悲劇をサブカルチャー論の第一人者が大胆に論じた画期的な評論集がついに文庫化!新たに重信房子論も掲載
内容説明
なぜ永田洋子は獄中で“乙女ちっく”な絵を描いたのか、なぜ森恒夫の顔が「かわいい」とつぶやいた連合赤軍の女性兵士は殺されたのか。サブカルチャーと歴史が否応なく出会ってしまった70年代初頭、連合赤軍山岳ベースで起きた悲劇を『多重人格探偵サイコ』の作者が批評家としてのもう一つの顔で読みほどく。フェミニズムさえ黙殺した連合赤軍の女たちを大胆に論じ、上野千鶴子に衝撃を与えた画期的評論集に重信房子論、連合赤軍小説論を加え、増補版としてついに文庫化。
目次
第1部 「彼女たち」の連合赤軍(永田洋子と消費社会;永田洋子はいかにして「乙女ちっく」になったのか ほか)
第2部 「彼女たち」の日本国憲法(「彼女たち」の日本国憲法;消費社会と吉本隆明の「転向」―七二年の社会変容 ほか)
終章 “ぼく”と国家とねじまき鳥の呪い
補 「物語」に融け込む主体(主体という幻想―『光の雨』と融解する自他境界;カメラ目線の重信房子 ほか)
著者等紹介
大塚英志[オオツカエイジ]
1958年、東京都生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
40
著者はフェミニズムに対して独特の理論を持っている。フェミニズム理論として本書でたびたび言及されるのは上野千鶴子だが、上野に代表されるフェミニズムとは違い、80年代に花開く消費文化によってフェミニズムは実現されたという。消費文化とは、生産や有用性、効用を考えない、消費すること自体に目的がある差異の戯れのことで、一見すると無為な行為である。サブタイトルに「サブカルチャーと戦後民主主義」とあるが、「24年組」に代表されるサブカルチャーは彼女たちにとって消費文化の担い手であり、著者はこの意味でのフェミニズムを実現2026/01/04
かふ
24
前回の読書でヤンキーにならずにすんだ私を顧みたのだが、さりとてヲタク(オタクを使わずヲタクにするのは狭い意味でのヲタク性なのか?)にもならなかったのだが、この本を読むとその部分も垣間見れるような気がする。全体的にはフェミニズムの取りこぼしてきたきた消費される女性を語りながら、江藤淳『成熟と喪失』問題があるのだと思う。子供を産まない母親問題にどう男たちは対処していくのか?以下、https://note.com/aoyadokari/n/ne94d4cf9606f2022/06/02
ヤギ郎
20
「連合赤軍」と聞くと歴史の教科書の登場人物たちという認識しかなかった。そこに大塚英志は「批評」という視点が加えて,「連合赤軍」に新たな見方を与えてくれた。平成生まれにとっては,あさま山荘事件も連合赤軍も歴史の出来事となっている。本書では,大塚は連合赤軍の女性指導者にスポットライトを当てる。彼女らの思いや世界観,そしてそれを見て,消費している私たちを考える。フェミニズムについての考察もある。ここで大塚はまさに「彼女たち」をものがたっている。2019/04/30
みのくま
10
新井素子やこうの史代、最近では村田沙耶香や吾峠呼世晴が描き出す女性達をどう言語化するかが、ぼくの人生の命題の一つである。彼女達はフェミニズムや良妻賢母的な保守思想では言語化できない。攻撃的でもなく防衛的でもない、もっと「中動態」的な言説で言い表わさなければならないと、ぼくは常に思っていた。本書は「カワイイ」を手掛かりに、この命題ににじり寄るヒントが散りばめられた名著である。「良妻賢母」ではなく「フェミニスト」でもない、「乙女ちっく」な感性を持つ彼女達の登場は、思えばぼくの母の世代(50年代後半)であった。2020/12/20
しんこい
10
72年頃に断絶があり、80年代の消費文化になる前、若者も悩み、女性はどうやって社会で活動するか。連合赤軍も時代の生んだもので、今となっては思想も総括の激しさも理解しがたいし、オウムがその悩みにストーリーを与えたというのもわかる気がする2020/04/20




