出版社内容情報
赤ん坊をいけにえに捧げなければならないその町は悲しみに閉ざされていた。でも本当は、善良な魔女に助けられて幸せに暮らしている。あるとき魔女は、うっかり赤ん坊に月の光を飲ませてしまい、やがて不思議な力を持つようになり……。ニューベリー賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽろん
41
児童書。ちょっと気分転換のつもりで、借りてきたのだけど、なんの、なんの。毎年、魔女に生け贄として差し出される赤ちゃん。当の魔女は、その意味を知らず、疑問に思いながらも、赤ちゃんの命を守る為、助けて、新しい家族に託してきた。沼の主グラークは、詩人の様だし、中々、成長しない竜の子も可愛いが訳あり。優しい魔女に育てられたルナの物語は、奥が深くて、叙情的でさえある。読み応えがある一冊でした。2019/06/01
ワッピー
35
月を愛でる読書会参加本。火山の麓にある保護領は、その年の一番若い赤ん坊を魔女に捧げる年一回の「いけにえの日」を迎えた。長く続く因習だが、一人の母親が長老会と修道院に逆らって行方不明となった・・・。森の魔女は本当に邪悪な存在なのか?いけにえに捧げられ、満月の光を飲んだ少女ルナは森の魔女ザンと沼坊主グラック、小竜フィリアンに育てられるが、封じられた魔力がついに顕現し、堰き止められた時は変化の波に打ち破られる。知識を隠蔽し、人々の進歩を妨げていた黒幕の正体は?現在の世界状況にかんがみて非常に示唆的なテーマです。2021/09/22
信兵衛
33
児童向けファンタジー作品ですが、予想を超えた素晴らしさ、名品と言って過言ではないと思います。2019/06/19
マツユキ
22
ある村で、1年に一度生まれたばかりの赤ん坊の魔女に捧げる習慣があった。森に住む魔女はその赤ん坊を保護していたが、ある年、赤ん坊が魔法を持ってしまい…。子育てって大変、この場合危険と隣り合わせですが、魔女も沼坊主も龍の子も良い家族だし、魔法を持った赤ん坊ルナも素敵な少女に成長しました。村では、長老たちと言いなりが当たり前ですが、ルナを取り上げられ抵抗した母親、習慣に疑問を持つ青年がいて、さあ、どうなるのか。重苦しい村の空気が晴れるのが気持ち良い。まとまっているけれど、壮大なファンタジーでした。2023/12/22
杏子
19
最初は少し時間がかかったけれど、なかなか面白い話だった。生まれてまもない赤ん坊を、森の中に置き去りにして、魔女にいけにえとしてささげる。似たような話は他にもあるが、その真相がこの作品では少し違っていた。ちょっと疑問に思って、調べればすぐに判明したのに。そうはならないのが物語というもの。これは夢なのか?幻なのか?よくわからない場面があって、それが後からみたら伏線だったのがわかる。月の光を飲んで魔法の力を得た少女と、少女を育ておばあちゃんとなった魔女との関わりが胸を打った。銀と青のイメージが美しい。2019/08/02