内容説明
私の名はジョーイ。愛する少年との穏やかな農場暮らしを後にして、最前線に送られてきた。そこで眼にした光景は…。私は駆ける、戦場を。愛する少年との再会を信じて、駆け抜ける。
著者等紹介
モーパーゴ,マイケル[モーパーゴ,マイケル][Morpurgo,Michael]
1943年、イギリスのハートフォード州生まれ。ロンドン大学キングズ・カレッジ卒業。小学校教師を経て作家となり、とりわけ児童文学作品を数多く発表。この分野で、現代イギリスを代表する作家としての地位を確立している。2003~2005年桂冠児童文学作家
佐藤見果夢[サトウミカム]
1951年、神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。公立図書館に勤務ののち、絵本や児童文学の翻訳にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kawai Hideki
91
山手線で劇場版の宣伝をみて気になっていたら、原作本が図書館のオススメに取り上げられていたので借りてきた。戦争で軍馬として徴収された馬と、その馬を手塩にかけて育てた少年とが奇跡の再開を果たすお話。激しい戦場でのエピソードを、馬の目線で語らせているのが新鮮。馬という中立的な存在ゆえに、イギリス、ドイツの両陣営を行き来して前線の兵士の心情の吐露を聞いたり、戦場になったフランスの農民の悲しみに耳を傾ける事になる。戦争終結後の軍馬に対する処置がこれまた過酷で、それに対する怒りが本作誕生のきっかけ。2014/10/01
はる
69
読み終わって静かに感動。多くの別離を乗り越えた後の、温かなラストシーン。語り手は馬のジョーイ。馬がこれほど知性的かという議論は置いといて(作者が訴えたいのはそこではないし)、彼の視線を通して描かれる戦場の人間達、仲間の馬たちの過酷な運命に胸が痛みます。一見、意地悪で口の悪い雷軍曹のセリフもいちいち泣かせます。いい作品でした。2016/10/20
アナーキー靴下
58
モーパーゴは温かく優しいヒューマニズムを持ちながら、それを伝えるための手段、物語の見せ方は大変巧みな作家だと思う。以前読んだ『カイト』は記者である語り手が見る未来の希望、その願望が覆いかぶさるようなラストに涙が止まらなかった。本作の語り手は馬のジョーイ。信頼する相手と共にいたいとか、栄養満点の食事とか、そんな今ここの願望しか持たないし、目の前の死を悲しみはすれど置かれた立場に絶望はしない。ジョーイの語りは躍動的ながらも淡々と、目の前の出来事を見せてくれる。そのことの意味を考えるのは人間である読者の役目だ。2024/08/12
ぶんこ
58
戦争シーンで馬が出てきますが、今まで馬の立場になって観たことがなかったので、かなり衝撃でした。イギリスで農耕馬だったジョーイが売られて戦地に赴く。ジョーイの目線で物語が語られるのが、すごく自然で、馬にとってぬかるみや砲弾の音、寒さ、湿気、人間からの温かい言葉かけが、いかに大事かを思い知ります。初めての飼い主アルバートからニコルズ大尉、ワレン、フランスの農家の子エミリーとおじいさん、そしてアルバートの元に戻るまでの戦争の悲惨さと、馬を愛する人々との感動の物語でした。映画を観ていないので、今から調べます。2016/10/28
ゆりあす62
58
図書館本。★★★★☆ 読友さんのご推薦。とても素敵な作品。馬への愛情が感じられ温かい気持ちになれる。2016/10/28