内容説明
とかいのたかいところで、鳥がまどガラスにぶつかり、…そして、おちてきた。だれもきづかない。ウィルのほかには。とかいのかたすみにも、命の灯はしっかりともっている…。
著者等紹介
グラハム,ボブ[グラハム,ボブ][Graham,Bob]
1942年、オーストラリアのシドニー生まれ。アート・スクールで絵画を学び、その後イラストレーターとして活躍。絵本『いぬがかいたーい!』(評論社)で2002年のボストングローブ・ホーンブック賞、オーストラリア児童図書賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
126
ウィル少年とその家族の周りだけに暖かさを感じる絵本。希望を捨てないで。生命力を信じて。その望みが明かりとなる。…人間が作った不自然な街、ビルがそびえ立つ所にも野性動物は棲んでいます。鳥たちは見慣れない世界に戸惑っています。なんとか適応しながらも、どうしても事故は起こります。…そんな状況にあっても、子どもの視線は自然です。人の命も鳥の命も、大切なことにはかわりない。お父さんお母さん、まだ翼は治るかもしれないよ。ゆっくり休んでね。…希望は叶うかも。窓の外を見つめているから。ありがとう。気をつけてね。元気でね。2021/07/11
新地学@児童書病発動中
71
題名にひかれて、今日図書館で、手に取った本です。ちいちゃな子供が気づいた鳩を見つけて、介抱するというシンプルなストーリーですが、グラハムの優しい絵のタッチが素晴らしく、忘れがたい印象を残します。都会の道に横たわって、誰も気づかない怪我した鳩を見つける、ウィルの優しさが心に沁みます。この世界で今一番必要とされているのは、このような細やかな優しさだという気がします。こんな本に出会えるので、絵本を読むのはやめられません。大人の本よりも、はるかに魂の栄養になります。2013/03/17
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
70
都会では誰もが忙しく動いています。わき目もふらずに、ただ目の前だけをみて。高層ビルの窓ガラスにぶつかり空から落ちてきた一羽の鳥。翼がぶつかった音……誰も聞いていません。路上に横たわる鳥……誰も見ていません。足元で苦しんでいる姿……誰も気づきません、ウィルのほかには。グレーに映る街の景色の中で、彼の周りだけ光が灯っています。手を差しのべて、家に連れて帰る。取れた羽は戻らないけど、傷ついた翼は治るかもしれない。ゆっくり休んで、時が経てば、また飛べるかも知れない。ウィルの手から羽ばたいていく鳥。2015/01/18
ふう
62
言葉以上に絵が大切なことを語りかけてくれる本です。高いビルのガラス窓にぶつかって地面に落ちてきた鳥。たくさんの人が通るけど、誰もその鳥に気づきません。小さなウィルだけが気づいて、その鳥を抱き上げます。そのページの明るさ温かさ、そして大きさにホッとさせられます。両親もはじめは頭を抱えますが、ウィルといっしょに手当てをしたりして回復を待ちます。「きずついたつばさはなおるかも」ウィルが鳥を守るように、両親もウィルのやさしさを守っているようでした。鳥も幸せだけど、ウィルもきっと幸せな気持ちだったはず。2024/11/30
♪みどりpiyopiyo♪
45
静かで抑えた絵に添えられたわずかな言葉。色のない都会に射す光。希望。■美しい絵本でした。ちいさな子どもの目は希望なのですね。ママとパパの反応がかわいい♡ 元気になって良かったね♪ ■アングルとコマ割りが劇的で雄弁です。作者はオーストラリアの人。傷ついた野鳥を保護するか否か、獣医に診せるか? ってか近所に居るのか?、無防備に触れて疫学的に大丈夫なのか?、など、国や地域で違いがあるのでしょう。そういった文化的な背景が反映されるところも、物語を読む愉しみの一つですね( ' ᵕ ' )2016/08/14
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