出版社内容情報
明け方、車で家を出発。農場をすぎ、海岸を走り、街について日が沈んだ。終わりまで読んだら、本をさかさまにしてごらん。暗かった街に…灯りがともり、映画館が…レストランに、お花畑が…花火の空に。いままでの風景がガラリと変わるよ! モノクロの絵が不思議な詩情をたたえた知的絵本。 幼児~
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
238
発想の勝利、実現させるデザイン力の勝利。まず普通に読みます。最後まで読んだら本を上下ひっくり返します。するとあら不思議、さっき読んだはずの絵柄が全く別なそれになって話は続いていきます。これは実際手に取って読んでみない事には味わえない驚き。小さい子供がいて読み聞かせる親御さんは別として大人になると滅多に絵本は手に取らなくなるのが普通だと思うけれど、たまには読んでみるのもいいもんだ。これを機会に絵本の世界にも踏み込んでみようかな。*読メだとこの本のページ数、何と1ページになってます。出来たら修正お願いします。2025/06/28
やすらぎ
172
黒から見る世界、白から見る世界、どちらに視点を置くかで見えてくる風景か変わる。1日が始まり終わるまで、上下逆さまにしてじっくり楽しめる芸術的な仕掛け絵本。人間が作った街は太陽が沈んでも闇が訪れず、夜なのに影が生まれる。光を当てても暗いままの夜空に光を当て、光に光を重ね、白と黒の街を作り出している。その世界を作者は、光の旅とかげの旅として描く。ビルの明かりがきらめき続ける夜より、街中の皆が明かりを消して夜空を見上げている、そんな世界観が好き。光の街に広がる影の空、影の街に広がる光の空、どちらがお好みですか。2025/03/06
masa@レビューお休み中
156
友人から勧められて読んだ本。絵本なのに、不可解で、奇妙で、まっとうな気持ちにさせられる。その複数の感覚と感情が、動揺と恐怖と安堵をもたらすのだ。俗に言う、光と影の世界があるというのは、誰しも頭ではわかっていることだと思う。でも、本当にそのことをきちんと理解して、両側面を見ることができる人が、どれだけいるというのだろうか?そんな、アンチテーゼも含んだお話なのではないかとすら思えてしまう。人生は旅である。だとしたら、きっとみんな光の旅をしたいと思うはずだ。そう思って、この絵本を手にしてみるとどうなるか…。2016/01/16
紫綺
140
だまし絵のような光とかげ、白と黒の世界を淡々と描いている。面白い!でも子供にはわかりにくいかな。大人が楽しむ絵本♪2013/04/07
seacalf
135
これはわくわくさせる。そして何ともスタイリッシュ。上下を逆さまにして、後ろのページから読み直すと、別の絵と別のストーリーを楽しむことができるのだ。ブラックとホワイトというモチーフ、都会的なイラストや摩天楼などがポール・オースターのニューヨーク三部作の『シティ・オブ・グラス』をなんとなく喚起させる。他にもこの手の不思議な絵本があったら読んでみたい。2018/07/22