内容説明
本書は、将来量子力学を学ぶであろう学生、現在学んでいる学生、またはすでに学んだ学生が、線形代数と量子力学をストレートに結び付けられることを念頭においてまとめられた書である。前半では、物理学ではなじみ深いブラとケットを用いて、線形代数の要点を解説する。行列、行列式、ベクトル空間の初歩については既知とするが、必要に応じて適宜解説と補足を与えている。さらに、量子力学で頻繁にでてくる射影演算子、完全性関係やスペクトル分解などについても取り上げた後、量子情報で用いるテンソル積や特異値分解などの話題も具体例とともに述べる。後半の応用では、量子力学について概説したうえで、ニュートリノ振動や、量子情報への線形代数のさまざまな適用例を紹介する。
目次
第1部 線形代数(ベクトル空間;行列と行列式;行列の関数;正規直交基底;線形演算子と行列;固有値と固有ベクトル;正規行列;特異値分解)
第2部 量子力学・量子情報への応用(線形代数と量子力学;量子ビット;量子鍵配布と量子テレポーテーション)
著者等紹介
中原幹夫[ナカハラミキオ]
1952年佐世保市に生まれる。1976年京都大学理学部卒業。1981年京都大学大学院理学研究科物理第一専攻博士課程単位取得満期退学。1982年理学博士。イギリスロンドン大学キングス校数学科Diploma課程修了。1986年静岡大学助教授。1993年近畿大学助教授。1999年近畿大学理工学部理学科物理学コース教授。現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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