出版社内容情報
伯爵夫人として何不自由なく暮らしていたヴァイオラは夫の死によってすべてを失った。隠遁するなか、所用で遠出をした帰路に馬車の故障で急遽安宿に泊まる羽目になる。するとそこには、かつて愛しあったマーセルがいた。
内容説明
伯爵夫人として平穏な生活を送ってきたヴァイオラ。夫に先立たれたあとも、不自由はないはずだった。ところが、夫の隠し子だと思われていた女性が実は前妻との嫡出子であり、夫とヴァイオラとは重婚であったことが判明する。彼女は地位も財産も失うことになった。まわりの厚意のおかげで暮らしているが、あることをきっかけに感情を爆発させ、たったひとりで家族のもとを飛びだす。そして貸し馬車の故障でしかたなく立ち寄った宿屋で、遠い昔に心惹かれながらも背を向けてしまったマーセルに偶然遭遇した。侯爵のマーセルはヴァイオラとの別離後結婚したが、子どもがまだ幼いうちに妻を亡くした。悲しみに背を向けるかのように、彼は双子の世話を義姉夫妻に託して家を出て、女性との火遊びに興じてきたが…。
感想・レビュー
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たまきら
33
身勝手な夫の重婚が、死後に発覚。子どもたちは爵位を失い、自身もひどいスキャンダルに巻き込まれてしまったのに静かに耐えていた奥様(42歳)がついに切れました。…その後の展開が、私が好きだった彼女の短編(めぐり逢う四季の「 魅せられて 」)そっくりでちょっと驚きましたが、この作家らしい丁寧な描写に魅了されあっという間に読み終わってしまいました。お互い心に染まぬ人生に耐えてきた男女の、不器用な恋愛にやきもき。「恐ろしいほどのハンサムさん(40歳)」の翻弄されっぷりに笑ってしまいました。家族の描写もいいんだな~。2025/07/17