出版社内容情報
開戦直前にイタリア軍捕虜となり、以来21回のあらゆる手段で脱走を繰り返した英軍将校アラステア・クラム。彼は終戦直前に脱走に成功し英雄として迎えられた。本書はその破天荒にして不屈の「脱走半生」を克明にたどったノンフィクションである。
内容説明
トンネル作戦、綱渡り、列車からの飛び降り、そして詐病…仲間とともに、あるときは単独で脱走を繰り返し、裏切りにあってもゲシュタポに睨まれても不屈の精神力で目的を果たし、英雄として称えられた脱走王「男爵」。
目次
第1章 脱走は登山に似ている
第2章 「男爵」の登場
第3章 要塞の生活と脱走常習者たち
第4章 トンネル作戦の仲間たち
第5章 ドイツ軍に占拠された収容所
第6章 ドイツ行き移送列車
第7章 森の中、街の中
第8章 無謀すぎる脱走計画
第9章 秘密警察と非常手段
第10章 戦争犯罪の追及
著者等紹介
ガス,デイヴィッド・M.[ガス,デイヴィッドM.] [Guss,David M.]
タフツ大学名誉教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士号。作家、人類学者として多くの著作がある。アメリカとヨーロッパのさまざまな地域で暮らす
花田知恵[ハナダチエ]
愛知県生まれ。英米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコベス
24
第二次大戦中二十一回の脱走を試みた英軍将校アレスター・クラムの手記を元に不屈の挑戦を克明に描いたノンフィクション。ジュネーヴ条約により捕虜は手厚く保護されていた為かどこか暢気で牧歌的で面白い。シチリアの収容所では道行く女子高生をナンパしたり収容所内で演劇スやポーツや賭博まで。ジェノヴァのガーヴィ要塞での長期間かけてトンネルを掘る脱走劇は臨場感溢れて映画さながらの迫力。ドイツに移送が決まってからはゲシュタポも絡みジュネーヴ条約も無視されがちで悲壮感が漂い始める。戦争中でも本邦と違って物資が豊富で羨ましい。2019/05/04
きみどり
4
第二次大戦中に脱走しまくったスコットランド人将校の伝記。欧州の捕虜収容所は(場所にもよるが)、物資もあり意外にも文化的で自由な生活が送れていたらしい。大学の学位を取ったり次々外国語を学んだり、戦後の就職活動をする者も。イメージを覆された。 そして将校たちにとって脱走とは軍人としての義務。逃げる目的は戦線復帰なのだ。 脱走すると、孤独と恐怖によりある種のトランス状態になるらしい。ちょっと私も脱走してみたくなった。2022/12/21