出版社内容情報
2015年の改訂版(初版は2003年刊行)。本書は、fid?le(忠実)ではないフィデル・カストロについて、幼少期から青年期、キューバ革命、独裁者として、伝記、ルポルタージュ、小説、歴史、すべての要素をふくみ、詳細に描いている。
内容説明
『イリアス』を愛読したカストロは英雄アキレウスに憧れ、戦功を渇望する征服者として太く短く生きることを夢見た。伝記、ルポルタージュ、小説、歴史など、多彩な角度から謎の人物像を浮き彫りに!ルーズヴェルト宛の自筆の手紙をふくむ貴重な巻末資料!
目次
夕暮れ前のウベル
フアニータの怒り
エスカンブライの一斉検挙
カストロ流アルファベット
アニバルとゾウたち
ニキータ、マリキータ!
オズワルドと「キューバン・コネクション」
キリストはアルト・セコで死んだ
アリーナと幽霊たち
ドン・ビルヒリオと砂浜の王子さま〔ほか〕
著者等紹介
ラフィ,セルジュ[ラフィ,セルジュ] [Raffy,Serge]
ライター、脚本家、小説家、ジャーナリスト(「ロプス」誌編集長)
清水珠代[シミズタマヨ]
翻訳家。上智大学文学部フランス文学科卒業
神田順子[カンダジュンコ]
フランス語通訳・翻訳家。上智大学外国語学部フランス語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
27
下巻は政権奪取してから。優れた嗅覚を持つ謀略家だが、統治者としては問題点が次々に出てくる。アメリカとの貿易も追い風になり経済成長が軌道に乗りつつある頃の政権奪取ということで運が良かったのだが、カストロは経済よりも政治的駆け引きを優先し、アメリカとの関係を切り、ソ連と蜜月になっていく。掲げる思想的には正しいかもしれないが、キューバの経済としては大打撃。60年代時点でソ連の工業技術はアメリカに及ばず、技術支援で派遣された技術者はアメリカの工業製品に驚いてばかりだったという(修理対応すらも不可)。2022/02/03
星落秋風五丈原
26
アメリカは34代アイゼンハワーから43代ジョージ・W・ブッシュ(息子)まで大統領が変わり、対立するソ連では連邦自体が消滅した。にもかかわらず、その間カストロはずっとキューバの国家元首だった。曲がりなりにも米の傀儡政権を倒した革命家の要素が強かった上巻に対して、下巻では政権維持が主目的となる。長期政権を維持する上で、最後の盟友であったチェ・ゲバラとも遂に決別する。 映画『チェ』では為政者カストロに対してあくまで革命家である事を選んだゲバラという描き方をされていたが、真相はそう美しいものでもないようだ。2018/01/07
田中峰和
8
猜疑心の強すぎる男は弟ラウル以外を信じなかった。苦楽を共にしたゲバラも、その極端な共産主義思想からソ連に歯向かう姿勢が許されず政権を追われた。新たな革命を求めたコロンビアでの銃殺刑。そこにもフィデルの関与が疑われる。革命の盟友であった幹部たちも、ひとたび疑われれば、逮捕監禁され、拷問の末裁判にかけられ死刑に追い込まれた。政権維持のために虐殺をくり返すカストロ一族は、三代続く金独裁政権のようだ。息子ではなく弟に政権を継承したキューバ。20人とも云われる子を成したカストロだが、皮肉にも世襲は叶わなかった。2018/02/27
Akio Kudo
2
★★★★ 少し分かりにくい洋書からの訳。ただカストロがどうしようもない無能な独裁者であり、権力掌握のために共産主義になっただけなんだと実感。2021/04/19
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