出版社内容情報
友人の招きで絶海の孤島にある館へと来たシェリンガム一行。「この中に殺人犯がいる」と発言した友人が犯人探しを提案する。これが思わぬ展開となり、シェリンガムは推理のるつぼに囚われてゆく。シェリンガム・シリーズ最後の事件。
内容説明
クルーザーの故障から無人島に取り残されたのは、ロジャー・シェリンガム含む15人の男女。しかしどこか仕組まれたようでもあった。あんのじょう、集団のホスト役が全員を集めて言った。「この中に、殺人者がいる」そこへある人物の死が重なり、ひとびとは次第に疑心暗鬼におちいっていく。警察も来ないこの閉鎖情況で、シェリンガムはいかなる裁断を下すのか。人気シリーズ最後の長編。
著者等紹介
バークリー,アントニイ[バークリー,アントニイ][Berkeley,Anthony]
1893‐1971年、イギリス。1925年に『レイトン・コートの謎』でミステリ作家としてデビュー。ディテクション・クラブを創設するなど、黄金期英国ミステリの中心的存在
武藤崇恵[ムトウタカエ]
英米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
46
失敗作という評を先に読んでいたので、期待していなかったのだが、どうしてどうして面白かったです。どこが失敗なんだろう?クリスティのかの名作に先行する孤島もの。パーティの主催者が集められた14人の中に1人殺人者がいると告発するのだが…。シェリンガム登場の最後の作品。犯人の動機もバークリーらしいというか、人間の行動動機なんてそんなものねと思わせる。それぞれ暴かれる本性が面白い。特に著名な探検家とか、病弱で歩くのも不自由な老貴婦人の実像が。2011/02/24
藤月はな(灯れ松明の火)
44
約一年前、ミステリー専門チャンネルの孤島での大森氏や豊橋さん達による「お勧めする夏ミステリー」を題材にした番組で挙げられていた作品でした。「人間は極限状態になったらどんな本性を現すのか」という試みの下に行われた(人為的)孤島での遭難。だがそれをお膳立てした張本人が知らない間に殺されてしまった。皆の心の平安を取り戻すためにシュリンガムは推理を求められるが・・・・。シュリンガムが「そして誰もいなくなった」状態を防ぐために探偵行為を投げ捨て奮闘する姿は多くの探偵気取りに見習ってほしい。レディ・ダラコット、素敵!2013/07/29
星落秋風五丈原
17
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のパロディ?2015/03/10
bapaksejahtera
13
これ迄著者作品読了は3点ほど。いずれも軽いタッチで、プロットにやや不自然なものもあったが、いずれも快調に読んだ。本作はこれ迄著者の作品とは若干色合いが異なる。金の使い道に困る程の資産家が大クルーザーに14人を招待。行く先を告げずに無人島に連れ出す。そこでいきなり殺人事件が起こり、一行は欲望と疑心暗鬼からパニックが生ずる。これは当初から仕組まれた算段であり、エピローグで種明かしがなされる。本作も嫌味のない文体で、スイスイ読めるのであるが、強引な設定と心理劇の冗長さに流石に退屈に至る。シリーズの最終作という。2022/06/15
shiaruvy
9
【2010.10.22 初版】 アホバカ迷惑探偵ロジャー・シェリンガムものの集大成。 流石,バークリーならではのこの面白さに匹敵するのはウェストレイクくらいしか思い浮かばない。2017/08/07