Ｈａｙａｋａｗａ ｐｏｃｋｅｔ ｍｙｓｔｅｒｙ ｂｏｏｋｓ 南海の金鈴

ヒューリック，ロバート・ファン【著】〈Ｇｕｌｉｋ，Ｒｏｂｅｒｔ Ｖａｎ〉/和爾 桃子【訳】

早川書房（2006/01発売）

• サイズ 新書判／ページ数 229p／高さ 19cm
• 商品コード 9784150017811
• NDC分類 933
• Cコード C0297

内容説明

ディー判事と副官たちは、都を離れて遥か南の地、広州へと赴く。当地を密かに訪れていた中央政府の高官が行方を絶ったのだ。都で政変の噂が立つおりから、事件は極秘のうちに調査せねばならない。だが、到着早々副官たちは殺人事件に巻き込まれる。やがて、当の高官の毒殺死体が見つかった。どうやら西方から交易にやってきているイスラム教徒たちに関連があるらしい。しかし事件の背景は複雑を極め、さらに意外な展開を見せる…副官たちを従えて各地を転任し、先々で多くの事件を解決してきたディー判事が、その旅路の最後に手掛けた難事件。

著者等紹介

ヒューリック，ロバート・ファン［ヒューリック，ロバートファン］［Ｇｕｌｉｋ，Ｒｏｂｅｒｔ　Ｖａｎ］
１９１０年オランダ生まれ。中国唐代の名宰相を主人公にしたディー判事シリーズでミステリ作家として知られる一方で、外交官とし在日大使などを歴任し、東洋研究者としても活躍した。１９６７年死去

和爾桃子［ワニモモコ］
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[紅はこべ]

テーマは運命の女。ディー判事の副官二人がそれぞれ運命の女と出会い、対照的な結末を迎える。寂しいしんみりした味わい。舞台が貿易都市なので、国際色豊かで、当時のイスラム教徒の風俗なども描かれ、興味深かった。

2009/06/18

[tom]

シリーズ最終巻。しばらく熱中して読んでいたのだけど、最期の一冊になって、妙に息切れ。それでも、とにかく最後まで読んでしまわなきゃということで、たぶん4度目の挑戦で読了。今は大出世した狄判事とその部下たち。今回も、足と知恵で問題解決。まあまあ、それなりに面白いか。それにしても、作者のヒューリック。この人、独自の性的嗜好を上手にオブラートで包んで、物語化してるなあと、つくづく感心。残るのは「古代中国の性生活―先史から明代まで」。この本読み上げるのは、いつのことになるやら。

2019/05/26

[spica015]

都が不穏な情勢にありながら、広州へ赴き高官の行方不明事件を探る狄判事たち。広州が舞台ということもあり、交易にやってきたイスラム教徒なんかもたくさん登場して、オリエンタルな雰囲気に溢れているのがいい。政治的陰謀が渦巻きつつ、個人間の愛情のもつれが事件を掻き混ぜ、複雑化させていくところはこのシリーズらしいなと思う。登場する女性がなぜか殆ど裸で、お色気あり、アクションありで、最後まで飽きさせないが、狄判事が首謀者と対峙するシーンは特に痺れる。シリーズ最後の作品らしい寂しさが残るが、喬泰がますます好きになった。

2019/01/27

[sin]

この作品が一番。たまらない寂寥感、判事の最後の事件。数々の事件を解決してきた判事が出会った最悪の犯人。それにしてもこのシリーズを通して感じたことだが、人間の性の部分が生々しくほのめかされている。ストレートに読むと変質的ともいえる性の実態が犯罪につながる事件も、この文体がいやらしさを感じさせない。

2012/10/10

[（ま）]

シリーズ最終作 広州で失踪した御史大夫捜索 蛋家出身の女性の激情と父には及ばぬ男の劣情と国家の陰湿な権力争いと

2024/02/27