内容説明
全国で「死体が消える」という不可解な事件が続発していた。犠牲者の数が130人分足りない飛行機墜落事故。監視者の目前で次々人が減っていく宗教団体。また、身元不明死体ばかりが火葬されずにどこかへ運ばれているらしいとも。さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる。ついに沈黙を破った鮎川賞作家による書き下ろし。
著者等紹介
門前典之[モンゼンノリユキ]
1997年に『死の命題』を自費刊行し、一部マニアの間で話題を呼ぶ。2001年に『建築屍材』で第11回鮎川哲也賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aquamarine
69
7年前のハイジャック機に乗り合わせた少女の記憶から始まるストーリーは、ある宗教信者たちの不可思議な消失事件、砂浜に建てられた浮遊するというドーム型建築物、さらに手首足首のない白骨遺体、と最初から引きこまれる。現代パートでも不可思議な殺人があったりとぐいぐい読まされた。蜘蛛手と宮村の関係は相変わらずで、事件のトリック自体はしっかり本格だが、一連の消失事件が何を意味するのかは想像できて、しかもそれが悍ましすぎ。バカミスとくくってしまうのは簡単だが、実在のカルト宗教もこんな風になんでもありなのかもしれない…。2023/06/13
タカギ
25
日航ジャンボ墜落事故を思い起こさせる描写から始まる。飛行機に乗っていたのは約500人。遺体が見つかったのはおよそ250体。残りはどこへいったのか? カルト宗教と絡んだ死体消失はさほど意外ではないけど、大変おぞましい。あとは、またしても雪の中の足跡のない死体。いろんなパターンを考え出すものだなあ。蜘蛛手が珍しく憤って相手を追い詰めるシーンは良かったけど、終わりは尻切れトンボな感じ。2022/05/27
しずかな午後
17
『浮遊封館』というタイトルに惹かれて手に取った。門前典之を読むのは4冊目。犠牲者が130人分消えた飛行機墜落事故を皮切りに、全国各地で起こる死体消失事件。その裏に暗躍する謎の宗教団体。そういう大掛かりで悪趣味な世界観に対して、メインの事件そのものはチープと言っていいバカミス。期待通りのぶっ飛び具合がうれしい反面、ひたすらぶっ飛んでるだけというか、もう少し動機などの説明が欲しかった。ちょっと悪趣味過ぎるので人にはオススメしないが、唯一無二の作品であるとは思う。2024/04/18
ソルト佐藤
10
うーん、バカトリック(笑 人間消失のトリックとか、笑っていいのか、なんていうか(笑 トリック自体は好きなのだけれど、ちょっと後味が悪すぎるのが残念。バカミスは、バカだけれど、能天気なところがほしい。2022/05/20
あああ
7
ううむ。なるほど、そうなるか……。この作家さん、『屍の命題』を読んだ時にも思いましたけど、やっぱりちょっとグロいですね。でも、蜘蛛さんがいい味出してますね♪助手さんも好きですよ~♬2018/01/12
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- 和書
- 有栖川の朝 文春文庫