出版社内容情報
スペインの知られざる歴史と現状を多くの図版と写真を用い、各地の独特な文化の歴史とフランコ独裁時代の歴史遺産との緊張関係で紹介する。
内容説明
ヨーロッパの辺境にあり、ケルトやローマ、カトリックやイスラーム圏の伝統、周辺国の政略の影響を受け、独特の文化圏を持つ地域社会の集合体を形成する、スペインの抱える“歴史問題”の複雑さの源流を解明する。多彩な文明の錯綜した歴史の国。
目次
第1部 バスクの歴史と文化(バスク民族の起源と特性;バスクの自由を守る戦い ほか)
第2部 カタルーニャの歴史と文化(カタルーニャ地方の風土と歴史;モンセラット山のベネディクト会修道院 ほか)
第3部 ガリシアの歴史と文化(ガリシアの気候風土と歴史;聖都サンディアゴ・デ・コンポステーラ ほか)
第4部 スペイン人の虚像と実像―現代スペイン社会に残存するフランコ思想とは(フランコ独裁政権のキリスト教的全体主義国家;現代スペイン人の価値観とフランコ主義 ほか)
著者等紹介
大泉陽一[オオイズミヨウイチ]
スペイン国立バジャドリード大学大学院社会学研究科修士課程修了。スペイン国立マドリード自治大学大学院経済学専攻博士課程修了。メキシコ国立貿易銀行勤務を経て、現在、スペイン国立バジャドリード大学アジア研究センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rbyawa
3
a148、バスクは山の民族、国の名前はナヴァール、かつてフランスの地にも領土が広がっていて。カタルーニャはバスクと並んで独立運動のある地域、中心都市がバルセロナ。ガリシアはポルトガル語と同根の言語を持つサンティアゴ・デ・コンポステーラの最大の聖地を含む土地。と、その段階でスペインってのが一枚岩ではないんだよなー、というのがなんとなく察せられるような気もする。それぞれの地域を語ったのち、フランコ独裁政権についてをちょっと。周辺部を扱ってせいか時代が飛ぶので、予備知識が若干あると読みやすいかな?2011/01/09
Akiro OUED
2
独立を図ったカタルーニャ前州首相や、フランコ死後の民主化を促した前国王が、国外逃亡するという、お陽様の国らしからぬ横顔を持つスペイン。北方の連合王国と似てる。でも、母語への愛着は英国以上のようだね。法律で関西弁の使用を禁じたら、大阪『国』構想の住民投票、圧倒的多数で可決だね。2020/12/04
可兒
2
スペインの諸地方が、いかに統合された国家の仮面をかぶりつつ割れないよう固められてきたか、という話。ちと小難しいが、面白い記述はたくさんあった2011/01/10
akizuki
1
スペインに吸収されたバスク、カタルーニャ、ガリシアの話をくわしく。巻末読むと、スペインが嫌な国に思えてくるw 自民族至上主義と根深い差別。例えばサッカーでスペインサポーターは差別的とか。有色人種(日本人含む)は近所に住んで欲しくない ランキングで精神的異常者と同じなんだってー2009/10/19
塩崎ツトム
1
何気なく手に取ったけど、多民族国家スペインの民族文化をわかりやすく解説してあって面白く、読んで本当によかったと思えた。そんな気概豊かなスペイン人の内相がフランコ独裁政権下でいかに卑俗で歪んだものにされてしまったかも説明。国粋主義は国を豊かにしません。2012/06/07