内容説明
開戦時と終戦時の外相。対米交渉続行をめぐり統帥部と苦闘、終戦工作へ挺身、東京裁判で闘いを継続。巣鴨拘置所で没。萩原延壽が人間東郷とその闘いをその時代と獄中手記に読む。
目次
伝記 東郷茂徳―その前半生(戦いの記録―『時代の一面』;外務省入省まで―苗代川・生立ち・上京;最初の在外勤務―奉天・ベルン・ベルリン;最初の本省勤務―「ロシア・サーヴィス」)
解説『時代の一面』について
解説 巣鴨獄中の東郷茂徳
感想・レビュー
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こまったまこ
3
東郷茂徳氏の伝記とその著書『時代の一面』の解説。本省勤務時代は所謂ロシア・サービスに勤務し、ここでの経験が後の大使時代に生かされる。日露戦争後の日ソ関係が良く分かる。解説では駐独大使時代の在駐武官との確執、駐ソ大使時代ではモロトフとの剛腕対決がかなり興味深い。外相時代の記述が少ないのが肩透かしだった。日米開戦時の在米大使館員の怠慢による通告遅延という重大な過失について、東郷氏が徹底的な原因究明と公表を行わなかったことが解せない。このことが明らかになっていれば東京裁判での判決が軽減されたかもしれない。2016/08/02