内容説明
少年ジャンは大叔母カトリーヌからかつて住んでいたモーリシャスの話を聞くのが至福のときだった。過去との交錯と、現実の混沌をとおしてたどりつく至福の旅の物語。ル・クレジオの半自伝的傑作。
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感想・レビュー
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やまはるか
10
現代に生きる主人公ジャン・マロから18世紀フランス革命に従軍したその祖先までが重なって描かれ、盲目の大叔母カトリーヌ・マロがジャンに聴かせるフランス島(統治時代のモーリシャス)の思い出が時代をつなぐ役割を果たしている。「それは計画もなく、将来もなく、煙のように移ろう過去のかすかな影があるだけの、海を眺める最後の夏だった。海はオリーブの葉群れの間で輝いていた。」はジャン・マロの現在。歴史と自然の美しさが織り合わされた壮大なロマン。並行して読んだ諸々とは次元が違っていた。2008年ノーベル賞作家2021/11/06