内容説明
嵐の夜、巨大な謎が開く封印された歴史!名探偵御手洗潔シリーズ最新長編ミステリー。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
昭和23年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。昭和56年、『占星術殺人事件』で衝撃的なデビューを果たす。その後も続々と意欲作・傑作を発表。死刑問題、日本人論についての深い考察も、ミステリーという枠組みを超え、幅広い読者の共感を呼んでいる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がたやぴん
95
空想歴史読本。歴史まで紐解く御手洗の姿を未読の方にも早く見て欲しい。変わらない石岡の姿は作品に安心感をもたらす。2人が近くで行動する作りが読み手としては嬉しい。レオナに届いた手紙から物語は始まる。厄介事の火種としか思えない彼女だが、有名人でアメリカ在住という設定は御手洗にこんな謎を届けるならば存在価値は今後の為にも大きい。探偵小説ではないミステリーをもこのシリーズに見事に取り込んだ本作はもっと絶賛されるべきだ。作品の方向性や雰囲気を伝える為にあえて例えるならば、ラングドン教授シリーズに近い。2016/09/22
papako
58
御手洗最高!な一冊でした。レオナに届いた一通のファンレターから70年の時を越えてロシアのロマノフ王家の謎を、御手洗が解き明かす。皇女アナスタシアは果たして本物だったのか?平八の苦悩、芦ノ湖に現れた幽霊軍艦の謎など、断片的な情報からアナスタシアの病状、果ては息子にまでたどり着く。こん作はあまりとんでもトリックなどのない、ミステリーというよりもラブストーリーです。最近の島田さんの文章にはない密度と緻密さ知性が堪能できました。2016/07/15
ばりぼー
57
予想を遥かに上回る壮大なスケールの歴史ミステリで、鳥肌が立ちました。雷雨の中、山に囲まれた芦ノ湖にロマノフ家の紋章の入った軍艦が現れ、一夜にして消滅。軍艦から軍人がおりてくる写真が箱根富士屋ホテルに飾られていたが、これは事実なのかトリックなのか…。ロシア革命もボルシェヴィキも、アナスタシアもアナ・アンダーソンも何にも知りませんでしたが、全く支障なし。「面白い」ことが「わかる」ことを凌駕してます。虚実を織り交ぜた大風呂敷を広げながら、ビシッとたたむ手際に感服しました。全く何てことを考えるんだ、この方は…。2015/01/29
とくけんちょ
52
歴史の謎を現代の知見と推理で紡ぐミステリー。こういった歴史ミステリーものという認識が全く読み始めたので、途中までストーリー自体を理解することが難しかった。いつになったら、本編となる事件が起こるのだろうと、結局は背景事情なんだろうなという歴史的な謎が本編でした。元々、歴史的な知識がなかったので、すんなりと頭に入ってこず。不合理だとは感じなかったので、うまくまとめているのだろう。2019/11/17
タカギ
27
『御手洗潔と進々堂珈琲』で本格読みたい熱が発散されずにくすぶっていたので、もう一発御手洗シリーズを。あらー、これは『写楽』と同じ歴史の謎系。御手洗の推理は炸裂しているけど、芦ノ湖をちょっと訪ねたくらいで、ほとんど馬車道を離れずに展開する。もの知らずを暴露するようですが、ロシアって昔は王朝があったのね。そういえば、帝政ロシアって言うものね。ロマノフ、ニコライ二世、アナスタシア、聞いたことはある。とりあえずウィキペディアを見ます、私。御手洗さんの推理、もうちょっと読みたい。2019/09/19