内容説明
ジェフリー・ブルーノは走る列車の中で目を覚まし、そこで言いようのない恐怖感を感じた。自分が列車に乗った記憶がなかったからだった。それだけではなかった。彼のポケットには「保険外交員ジョン・ブレイク」の名刺と、同じくブレイク宛の手紙が…。自分の中にもうひとりの自分がいるのではないか、ブルーノの不安は増しはじめ、これに追い打ちをかけるように、かたわらにうち捨てられた新聞が目に入る。“ジョン・ブレイク、殺人容疑で指名手配!”その顔写真はまぎれもなくジェフリー・ブルーノ自身の顔だった。巧みなストーリー・テリングに意外な結末も申し分のない、女王ライスのつむぐミステリー・ワールド。
著者等紹介
ライス,クレイグ[Rice,Craig]
アメリカのミステリー黄金時代を代表する作家。シカゴを舞台にした弁護士マローンとジャスタス夫妻が活躍するシリーズで不動の評価を獲得し、ユーモラスな語り口と登場人物の活き活きとした描写で日本でも高い人気を誇る。本作はマイケル・ヴェニング名義で刊行された。『眠りをむさぼりすぎた男』(図書刊行会)のメルヴィル・フェア・シリーズ第2作にあたる
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