内容説明
満州国・朝鮮・ソ連の不分明な境界線上で起きた戦闘を膨大な資料の探究と、丹念な関係者インタビューを積み重ね明快に描く戦争史研究の古典的名著!意思決定過程・現地軍の統制・限定戦争の可能性と危険性など戦争研究の主要テーマを網羅。必読の傑作ケーススタディ。
目次
事件の背景
最初の衝突
東京の反応
威力偵察
第十九師団の初陣
参謀本部の使者たち
勅裁得られず
不拡大への努力
沙草峯の衝突―災いか恵みか?
豆満江を越えて〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
ノモンハン事件の前年、満州国とソ連との東部国境で発生した紛争を、アメリカ人研究者が膨大な資料と取材で追求した良著。場所は満州国だが、兵站の関係で国境警備の担当は朝鮮軍(日本統治下の朝鮮半島駐留軍)だった。当時、中国で漢口攻略中の陸軍中央はソ連との本格的衝突を恐れて不拡大に徹したが、現場では手柄を立てる機会に恵まれない朝鮮軍の不満が鬱積し、そこにソ連軍の謎の挑発行為が重なって限定的な戦闘が発生。白兵戦に強い歩兵主体の日本軍は、戦車、火砲、航空機を動員したソ連軍の攻撃に晒され、初の本格的な近代戦を経験した2017/01/24