出版社内容情報
イアン・ジョンソン[イアン ジョンソン]
著・文・その他
秋元 由紀[アキモト ユキ]
翻訳
内容説明
いくら繁栄しても何かが足りない。ピュリツァー賞受賞ジャーナリストが人びとの暮らしに密着して描く、信仰と伝統に彩られたもう一つの中国。
目次
第1部 月の暦
第2部 啓蟄―虫たちの目覚め
第3部 清明
第4部 芒種
第5部 中秋
第6部 冬至
第7部 閏年
著者等紹介
ジョンソン,イアン[ジョンソン,イアン] [Johnson,Ian]
1962年、カナダ・モントリオール生まれ。ベルリン自由大学で修士号を取得。米外交問題評議会のシニアフェローを務め、『ニョーヨーク・タイムズ』『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』などに定期的に寄稿。また、中国についてメディアや一般向けに精力的に発言している。2009年から中国に滞在するも、2020年、米中関係悪化の影響で退去を余儀なくされた。2001年、法輪功に関する報道でピュリツァー賞を受賞したほか受賞歴多数
秋元由紀[アキモトユキ]
翻訳家、米国弁護士。タンミンウー『ビルマ・ハイウェイ』(第26回アジア・太平洋賞特別賞受賞)(白水社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
20
著者はカナダ出身のジャーナリスト。題名のとおり現代中国社会で宗教(「宗教」という言葉が近代化以前は無かったので、信仰のほうが正確?)が復活してきている状況を、仏教、キリスト教、道教の指導者、普通の人たち、カリスマ的指導者などにインタビューした労作で、大変面白かった。最初に、中国での宗教弾圧の歴史が語られ、共産党以前から国民党が「迷信を破壊する運動」を始めて、寺院破壊などが行われたことを知った。中国では寺院の委員会が政策的な役割も担っていたため近代化するのに邪魔になった。文化大革命(1966~)になると→2024/05/19
とりもり
2
何となく中国といえば「儒教の国」と勝手に思い込んていたがさにあらず。文化大革命で宗教が弾圧されたのは知っていても、ここまで徹底的に信仰そのものの自由が奪われたとは。中国の宗教問題は、決してチベットや新疆ウイグル自治区だけに存在するのではない。共産党一党支配が続く中、民衆が結集する宗教は敵ということなのかと思う一方、あれだけ毛沢東への個人崇拝が悲惨な結果を招いたのに、その道を再び歩んでいるようにしか見えない習近平体制がどこへ向かうのか。中国と信仰の関係が今後の世界の命運を握っているのかも知れない。★★★★★2022/12/15
guanben
1
共産党政権下では、宗教や民間信仰は抑圧(ときに破壊)されてきたわけだけど、衣食足りて、次に心のよりどころを欲するのは自然なこと。本書は党の指導下にない仏教、道教、キリスト教信仰に携わる人達を取材した大長編。政府もそうした活動が政権の安定に繋がるなら、黙認する形になっている。「中国の夢」という人工的な価値観よりも「道徳」「善行」といった普遍的な価値観が人の心には刺さるんだよね、きっと。2023/02/23
さとる
0
中国はお腹いっぱい。もういいよ、と思ったけれど、全く新しい視点を与えてくれたなぁ。もう一度北京に住む機会があれば、この本を持っていこう。〇こんな言葉を発してくれる、尊敬できる北京人に出会えるかもしれない。「よい行いに終わりはない。」「乗り切れるから。どうやってということはない。そういうことではない。ただ乗り切ることができるというだけだ。」2024/03/17
てぷてぷ
0
個人的には、宗教というものにとても懐疑的だけれど、存在しているということは必要なものなのかなと思う。宗教も信仰もよくわからないけれど。中国人留学生の子たちと信仰について話してみればよかったなと思った。もう昔のことだけど。2024/02/23