出版社内容情報
本来、性と食に禁忌はない?犬猫食いの人類が、いかに愛玩者になりえたか。摩訶不思議なヒトへの洞察が深まる破天荒な人文書!
内容説明
本来、ヒトは雑食性。東洋西洋を問わず、さかんに犬や猫を食べてきた。しかも愛情、性欲、食欲は同類項。無意識の深層でつながっている。天使のような赤ちゃんに「まあ可愛い。食べてしまいたい」と頬ずりしたことはありませんか。膨張しつづける人類の欲望。そのなかで近親相姦とペット食は近代の二大禁忌に。どうして我々は丸々と肥えたペットに涎を垂らさなくなったのか。摩訶不思議なヒトの深奥をさぐるミステリーの旅へ、さあご一緒に―。
目次
1章 イヌを食べた人々(ドッグ・イーター)
2章 ネコを食べた人々(キャット・イーター)
3章 ペットを愛した人々(ペット・ラヴァー)
4章 タブーの仕組み
5章 贈物と祭り
6章 ペットと消費文明
著者等紹介
山内昶[ヤマウチヒサシ]
1929年東京生まれ。京都大学フランス文学科卒業、同大学院(旧制)修了。パリ大学高等研究院に留学。甲南大学名誉教授。フランス文学、文学理論、社会思想、人類学、比較文化学、文化史を研究
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃんみー
45
食と性とを織り交ぜ、紀元前からの歴史を紐解き、世界各地の文化に言及。途中で何の本を読んでいたのかわからなくなって表紙を見直す。広範に渡りすぎて結論が見えにくい。惹きつけるために付けたタイトルのような気がして、本当は別の事を言いたいんだろう、という気がする。2016/01/17
佐島楓
39
犬食、猫食だけでなく、セクシャルなタブーも扱った文化人類学寄りの本。この題名に対する明快な答えは出ていないように思う。文化の枠組みと本能のせめぎ合いが影響している構造をもっと解き明かしていただきたかった。2015/08/24
tomi
30
古代より雑食性であるヒトは犬や猫を食べていた。それが何故現代では食べなくなったのか、考察する。食用に飼い馴らされたともいわれる犬肉食の歴史から獣姦・近親婚・人肉食といったタブーの成立と仕組みを豊富な資料をもとに解説。風呂敷を広げ過ぎてテーマが散漫になったきらいがあるが、刺激的な本である。2015/12/17
らびぞう
14
人間の傍にいるペットたち、「可愛い!」とは思うが、「美味しそう!」とは、思わない。何故そう思わないのかを、過去(昔)のイヌやネコを食べた人たち(イーター)のお話から、ぺっとを愛した人たち(ラヴァー)、タブー、そうして、電子ペットまで、古代から現代までのペットの流れを説明してくれている。特に、タブーのお話は、良かった。また、豚は、非常に効率がいい肉供給者であることも、初めて知った。2021/06/09
うたまる
2
タイトルに提起されている問題は一旦忘れよう。本書は人類のタブーの根源を探る研究本。扱うテーマはペット食の他、人肉食、獣姦、異類婚、近親相姦、乱交などで、その全てがかつて地球上のあちこちに存在したことから語り起こす。んで、論考として最も刺激的だったのは近親相姦。「近親婚の禁止は、母、姉妹あるいは娘を娶ることを禁止する規制であるよりはむしろ、母、姉妹あるいは娘を他人に与えることを強いる規制である」(レヴィ・ストロース)が目から鱗だった。また、ペットからペッティングが派生したっていうのも驚き。うん、面白かった。2017/10/29