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出版社内容情報
「生きた博物館」にして人工の生態系でもある水族館。その誕生と発展をたどり、水族館の現在を見つめるユニークな文化史。図版多数。
内容説明
「生きた博物館」にして人工の生態系でもある水族館。その前史であるアクアリウムはいかにして誕生したのか。海中世界に憧れた人々の試行錯誤をたどりながら、現代の水族館が向かう先を見据えるユニークな文化史。カラー・モノクロ図版多数。
目次
プロローグ―まずは飛びこんで
最初の種―海洋の神秘
第二の種―小部屋、陳列棚、ケース
第三の種―魚をペットに
「情熱と勤勉」―開拓者たち
強くあくなき追求―ブームの火つけ役
海水アクアリウムから淡水アクアリウムへ―ガラスの中の湖
アメリカへの上陸―アクアリスト協会と博物館
異国の品種とその輸送―分かれる考え方
流行の見本市―居間用アクアリウムのさまざまな形式
「新種の劇場」―大型のアクアリウム
アクアリウムからオセアナリウムへ、そしてその先へ
水族館の暗い深層
著者等紹介
ブルンナー,ベアント[ブルンナー,ベアント] [Brunner,Bernd]
1964年生まれ。ベルリン自由大学、ベルリン経済大学を卒業。現在は客員研究員、フリーランスの文筆家、ノンフィクション作品の編集者
山川純子[ヤマカワスミコ]
名古屋に生まれ、鎌倉で育つ。慶応義塾大学文学部国史および美学美術史専攻、アリゾナ大学美術史(写真史)修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
94
表紙にはクジラの入った水槽の絵、とてもデフォルメされてて好きな絵ですがてっきり大きな水族館の歴史かと思いきや室内で楽しむアクアリウムのほうがメインでした。19世紀の半ばにはもう淡水や海水含めたアクアリウムが存在したんだね。アクアリウム私も一時期ハマったことあるのですが作るのはそんなに難しくないんです。あとの維持管理が大変。さおの維持管理を喜びとするか苦しみとするかが成功の分かれ道だと思います。当時の人々も海や水の中のことには並々ならぬ関心があったのですね。図書館本2021/01/03
ネジ
38
★★★★☆ 水族館の歴史として、19世紀に生まれた個人が楽しむためのアクアリウムからの変遷を追った内容。当時の水中世界への畏怖や好奇心、飼育のハードルの高さがわかる。 ①19世紀、ヨーロッパでは自然物の蒐集が趣味となり、海の生物の飼育へと繋がった。 ②飼いたい生き物のみ入れるのではなく、酸素の補給や海藻を入れることで長く生きることが偶然発見されたのが今のアクアリウムの原型である。 ③水族館から人間が学ぶことは今後も尽きないだろうが、生態系の破壊に繋がる乱獲は慎むべきである。2024/01/13
スイ
15
副題の『海が室内にやってきた』の方が内容と合っている。 後半は水族館の変遷についても語られるが、個人が家で海の動植物を楽しむようになった経緯が一番ボリュームがある。 タイトルを見て思っていたものと違ったが、これはこれで面白かった。 海を知り始めた頃の人々の絵も多く掲載されており、とても美しい。 終盤の、現在の水族館はショッピングモールと変わらないこと、教育を盾にして環境を壊していることなどが書かれた部分は明らかにトーンが違い、著者の怒りをかんじた。 この辺り、もっと著者の考えを聞きたかったな…!2021/11/05
ミムロ犬
6
原題は「海はどのように家へやってきたか」で、邦題はややミスリード。十九世紀に入って誕生した蒐集趣味としてのアクアリウム。当時のブルジョアたちには大ウケだったそうで、数ある挿画にはいかにも金がかかってそうな洒落た水槽がズラリ。スチームパンク風のものもあったりする。しかしその優雅な居宅空間を演出するには相当な苦労があったらしく、そこが本書の(文化史的に)ミソ。粗悪な運送に新しい商売の常といえる詐欺紛い(というか詐欺そのもの)の取引の横行などなど、なかなか阿鼻叫喚でこれぞ十九世紀と唸らされること請け合いである。2019/10/04
gokuri
3
世界の人々がいかに水生生物を室内に飼うようになり、個人の観賞用から、公共の場や水族館で展示される生き物を多くの人が楽しむようになったか、その歴史がきめ細やに記述され、豊富な文献と当時の挿絵により、読者をアクアリウムの歴史に導いてくれる。 筆者はドイツ人で本書〈2003年出版 2011年改訂販)は、英語版の翻訳とのことで、水族館好きにはたまらない本だが、本来は「アクアリウムの歴史」とすべきで、オセアナリウム(大規模水族館)の歴史ではないことに留意すべし。2025/04/15