出版社内容情報
六四、三十年を悼む
自由に発言することを望んで、中国社会科学院哲学研究所を解雇された著者は現在、米コロンビア大学で教鞭を執りながら、祖国を見詰める。
本書はそのコロンビア大学で開講されている「現代中国の九大思潮」がもとになっている。
その最大の特長は、現代中国を従来のように権威主義体制として理解せず、「新全体主義」と捉えていることである。
ただ、この強権体制を見る視点は独裁一色というような単純なものではない。
ポスト「六四」天安門の思想状況は、高度経済成長とともに、党=国家体制へと回収されていく強力なナショナリズムが醸成されたのは確かに事実である。
だが、その過程は、グローバル化や通信技術の革新の下で展開しており、一党独裁を支える政治・社会思想はかつてのように一枚岩ではない。
こうした新たな眼鏡を持つことが、一党独裁を掘り崩していく知的な土台になる。本書が「新全体主義の知識社会学」と自ら規定しているのは、この意味においてである。世界的に注目される自由の闘士による中国批判理論構築の試み。
内容説明
天安門事件から30年、“党=国家”による苛烈な独裁下、思想はいかにして可能か?専制と闘う解放のための講義。
目次
思想および思想のスペクトルと思潮の衝突
リベラリズム
リベラリズム(続一)
リベラリズム(続二)
新権威主義
新左派
新左派(続)
毛左派
毛左派(続)
中共党内民主派
「憲政社会主義」の様々な主張
儒学治国論
紅二代と「新民主主義への回帰」
対外的に勢力の強まるネオ・ナショナリズム
結論
著者等紹介
張博樹[チョウハクジュ]
1955年生まれ。中国人民大学政治経済学部、中国社会科学院大学院(哲学専攻)を経て中国社会科学院哲学研究所勤務。哲学博士。64・天安門事件に遭遇して人生が変わり、以後、中国批判理論の構築に邁進する。2011年に渡米。現在、コロンビア大学客員教授
石井知章[イシイトモアキ]
1960年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。共同通信社記者、ILO(国際労働機関)職員を経て、明治大学商学部教授。主な著書に『現代中国政治と労働社会』(御茶の水書房、日本労働ペンクラブ賞受賞)。他
及川淳子[オイカワジュンコ]
東京都生まれ。日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了。博士(総合社会文化)。中央大学文学部准教授
中村達雄[ナカムラタツオ]
1954年生まれ。横浜市立大学大学院国際文化研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。現在、明治大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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