アブサンの文化史―禁断の酒の二百年

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  • サイズ A5判/ページ数 253p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784560095294
  • NDC分類 588.57
  • Cコード C0022

出版社内容情報

19?20世紀にかけて、芸術家たちに愛飲されてきた「緑の妖精」――ニガヨモギからつくられるアブサンを、図版もたっぷりと解説。酒瓶に秘められた物語たち!
 アブサンは約100年前に製造が禁止された「伝説」の酒として、これまで開高健など限られた好事家の想像力と好奇心をくすぐってきた。
 本書は、その「禁じられた酒」について、歴史的・社会的・科学的に「図解」してゆく本邦初の本格的な文化史。19世紀末ヨーロッパに漂うデカダンスな雰囲気の象徴としてアブサンを紹介してゆくその語り口は、じつに痛快だ。
 まず本書前半においては、マネ、ドガ、ロートレック、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、ワイルド、ジャリ……日本人に馴染み深い芸術家とアブサンとのエピソードが数珠つなぎに繰り広げられてゆく。なによりも興味深いのは、酒にまつわる巨匠たちの「失敗談」が数多く物語られている点である。そして後半においては、アブサンの起源、医療や政治や戦争との関わりが繙かれる。それはすなわち、にがくて飲めないハーブが人びとを虜にした真実に迫る、酒瓶に秘められた物語たち!
 19世紀~20世紀にかけて多くの芸術家に愛飲された「緑の妖精」──ニガヨモギからつくられる蒸留酒アブサンについて、図版もたっぷりと解説。本文パートカラー。

バーナビー・コンラッド三世[コンラッド]

浜本 隆三[ハマモト リュウゾウ]
1979年生。同志社大学大学院アメリカ研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、福井県立大学学術教養センター専任講師。

内容説明

にがくて飲めないハーブが人びとを虜にした真実に迫る。酒瓶に秘められた物語たち。19世紀から20世紀にかけて多くの芸術家に愛飲された「緑の妖精」―ニガヨモギからつくられる蒸留酒アブサンについて解説。

目次

とあるアブサン殺人
マネ、ボードレール、そしてアブサンの時代
アブサンと詩人たち―ヴェルレーヌ、ランボー、ワイルド、ダウスン
ロンドンにアブサンをもたらしたドガ
モンマルトルからマルケサス諸島へ―ロートレック、ファン・ゴッホ、モンティセリ、そしてゴーギャン
ジャリとピカソ―アブサン色にかすんだ美術
古代から現代へ―アブサンの起源をたどる
アブサンをめぐる医療史
アブサンと政治
アブサンと戦争
禁止されてから
アブサンはいま―よみがえる「緑の妖精」
近年のアブサンについての研究

著者等紹介

コンラッド,三世,バーナビー[コンラッド,サンセイ,バーナビー] [Conrad,3,Barnaby]
1952年、米国サンフランシスコ生まれ。父バーナビー・コンラッド・ジュニアは作家で、アマチュアの闘牛士でもあった。イェール大学卒業後、ジャーナリスト、雑誌編集者を経て作家活動に入る。『アブサンの文化史―禁断の酒の二百年』が初の単著書となる。豊富な図版とエピソードでつづる文化史論に定評がある

浜本隆三[ハマモトリュウゾウ]
1979年、京都府生まれ。同志社大学大学院アメリカ研究科(現グローバル・スタディーズ研究科)博士後期課程単位取得退学。福井県立大学学術教養センター専任講師。専門は十九世紀アメリカの文学と文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

110
19世紀後期フランスでは、アブサンと呼ばれる酒が多くの芸術家に取り上げられてきた。ヴェルレーヌやランボー、ロートレックにゴッホなど文学や絵画にインスピレーションを与え傑作を生みだす一方で、脳をやられたり犯罪者が出たため販売禁止になったと。そんな伝説に彩られた悪魔的な酒の歴史は、もしアブサンがなければ人類の文化はつまらなくなっていたと思えるほどだ。これほど強い酒が求められたのは、抑圧が強まる社会システムから逃避欲求に応えたためと見る。現代の薬物や麻薬乱用を思うと、人の弱さ愚かさは大して変わっていないのでは。2023/01/18

くさてる

19
「緑の妖精」として親しまれたニガヨモギを使った翡翠色の酒、アブサン。角砂糖と水を入れると乳白色に濁る、そんな特徴も素敵だけど、恐るべき酒として禁止令まで出された酒でもある。そのアブサンの歴史と愛好した芸術家のエピソード、アブサンが巻き起こした政治的争いまでを網羅した一冊。図版も豊富で、面白く読めました。アルコール度数72と聞いては気軽に飲めるものではないけれど、その美しい緑はいちど目にしてみたいかな。2020/10/03

rinakko

17
アブサンに纏わる逸話がたんもり。19世紀の末、着飾った人々でにぎわうパリのカフェで、広く親しまれていた“緑の妖精”アブサン。翡翠からオパールへ変色するそのグラスは、禁酒論者から“ありきたりな人生や仕事を否定する無頼派の象徴”として目の敵にされたが…。「砂糖と一緒に、飲むぞっ!」という馴染みの挨拶を叫ぶヴェルレーヌ、アブサン飲みの浮浪者に気高い退廃主義を嗅ぎ取ったマネ、神経を鞭打ち正気を犠牲にして夢想家になるために飲んだくれたランボー、アブサンのカクテル通ロートレック、黄色が占めるゴッホ晩年の絵画…。2017/12/20

海老エミ

14
面白かった。図書館本。p74まで読みました。小説に出てくるアブサンのハマった文人芸術家達の逸話とアブサンの歴史、組成なども書かれている。ちょっと時間が足りなくなってしまいタイムアウト。再度借りるか買うかします。2019/11/17

mejiro

12
「緑の妖精」と呼ばれたアブサンにまつわる豊富な逸話を分類し、スムーズにつなぎ合わせた構成がいい。芸術界の大スターたちがカフェでアブサンを飲みながら、何を思い、どんな会話を交わしたのか…これだけでドラマになりそう。ジャリが変人すぎ…彼とピカソのつながりに驚く。霊薬から毒薬へと時代によって変わる評価、アブサンの発祥や各方面に与えた影響など、具体的に知れておもしろい。絵や写真も多くてよかった。昏く華やかな一時代を築きながら、今では存在すらほとんど忘れられている、そんなところが浪漫をかきたてると思う。 2018/08/09

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