出版社内容情報
「ロバート・キャパ」はいかにして生まれたか?その立役者となり、戦場に散った女性初の報道写真家の短い生涯と作品に光を当てる。林典子氏推薦! 「ふたりのキャパ」の生きた道
死後五十余年を経てなお絶大な人気を誇るロバート・キャパ。彼がキャリアを確立しようとした時期、人生を共にした女性がいた。ゲルダ・タロー(1910-37)である。
ゲルダはドイツでポーランド系ユダヤ人の家庭に生を受けた。裕福な叔母の後ろ盾で良家の子女向けの学校に通い、とりわけ語学の才能に恵まれるが、次第にファシズムの影がしのび寄る。1933年、ゲルダはパリに逃れ、同じころ祖国ハンガリーを逃れてこの街にやってきたアンドレ・フリードマンと出会い、恋に落ちる。
すでに駆け出しのカメラマンとして活動していたアンドレに手ほどきを受け、ゲルダは写真に夢中になる。語学に堪能なゲルダがアンドレの写真にキャプションをつけ、どのように売り込もうかと考えた二人の頭の中で、架空のアメリカ人写真家「ロバート・キャパ」が誕生した。
ともにユダヤ系難民として故国を離れた二人にとって、1936年に勃発したスペイン内戦は新たなファシズムとの闘いだった。各地の戦場に赴き、兵士や土地を追われた人々にカメラを向けるが、1937年、ゲルダは操縦不能に陥った戦車に轢かれ、26歳の短い生涯を閉じる。
自由と恋と写真、早すぎた死。道半ばで戦場に散った果敢な人生と作品を鮮やかに蘇らせる。カラー・モノクロ図版約100点。
ジェーン・ロゴイスカ[ロゴイスカ]
作家、映像作家。ケンブリッジ大学を卒業後、リーズのノーザン・フィルム・スクールおよびウッチのポーランド国立映画学校で映画制作を学ぶ。さまざまな短篇映画の賞を受賞し、コマーシャルやイベント等の映像制作に携わる。2010年より執筆に専念。初のノンフィクションである本書は2013年に上梓され、ゲルダ・タローについて英語で書かれた初めての伝記となる。第二次世界大戦を間近に控えた一九三〇年の時期およびヨーロッパの冷戦期を舞台とする戯曲の執筆も行なう。
木下 哲夫[キノシタ テツオ]
内容説明
自由と恋と写真、早すぎた死、道半ばで戦場に散った果敢な人生と作品を鮮やかに蘇らせる。カラー・モノクロ図版約100点。
目次
「勇ましく可憐なゲルダ」―ゲルダ・タローの遺したもの
引き裂かれたゲルダ―ドイツ一九一〇年‐三三年
生き延びるのがやっと―パリのゲルダ一九三三年‐三四年
アンドレ・フリードマン参上
ゲルダとアンドレ
ロバート・キャパを創りだす
戦争!―バルセロナ一九三六年八月
戦闘地域を目指す―一九三六年八月‐九月
冬―一九三六年
過渡期―一九三七年二月‐三月
新たな指令―一九三七年三月‐四月
妥協―一九三七年五月
映画作り―一九三七年五月‐六月
文化を擁護する作家たち―一九三七年七月
プルネテの戦い―一九三七年七月
最期の日―一九三七年七月二十五日
著者等紹介
ロゴイスカ,ジェーン[ロゴイスカ,ジェーン] [Rogoyska,Jane]
作家、映像作家。ケンブリッジ大学クライスツ・カレッジを卒業後、リーズのノーザン・フィルム・スクールとポーランドのウッチ映画大学で映画制作を学ぶ。さまざまな短篇映画の賞を受賞し、映像制作に携わった後、2010年以降は映画の脚本と書籍の執筆に取り組む
木下哲夫[キノシタテツオ]
1950年生まれ。京都大学経済学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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