ロシア語文学のミノタウロスたち<br> 穴持たずども

個数:

ロシア語文学のミノタウロスたち
穴持たずども

  • ウェブストアに4冊在庫がございます。(2025年06月30日 19時55分現在)
    通常、ご注文翌日~2日後に出荷されます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫数は刻々と変動しており、ご注文手続き中に減ることもございます。
    ◆在庫数以上の数量をご注文の場合には、超過した分はお取り寄せとなり日数がかかります。入手できないこともございます。
    ◆事情により出荷が遅れる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●3Dセキュア導入とクレジットカードによるお支払いについて
    ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ 46判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560093924
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

出版社内容情報

舞台は1960年代のモスクワ郊外。殺人を重ねながら魂や死、彼岸の世界を追求する主人公フョードル・ソンノフ。彼がねぐらとするレベジノエ村の共同住宅には、世界を不条理で満たさなければ気がすまない異常性癖をもつ妹クラーワと、フォミチェフ家の人々――父のコーリャ、日がなごみ溜めを漁る長女リーダ、快楽の産物として子どもが生じることが許せない婿パーシャ、自らの疥癬を食す長男ペーチャ、現実を「見てはいない」次女ミーラ――が住まっている。
彼らに「蒙昧主義」を見いだし、自らの思想とのジンテーゼをはかる「形而上派」の面々がここに合流する。グノーシス的神秘思想の持ち主である「形而上的娼婦」アンナを中心に、彼らは「現実」を超越することを志向しながらそれぞれが独自の(超)独我論を展開していく。さらには敬虔なキリスト者であったものの死の間際に鶏になってしまう老人アンドレイ、セクトには属さず独自の道を歩む去勢者ミヘイらも加わり……。
消費社会に覆われた西側でニューエイジが生じたのと時を同じくして、表向き窒息するような社会主義体制下のソ連ロシアのアンダーグラウンドで息づいたもうひとつの精神世界。

内容説明

ドストエフスキー、プラトーノフらの衣鉢を継ぎ、ソローキン、ペレーヴィン、スタロビネツらに影響を与えた、ソ連地下文学の巨匠マムレーエフの怪作。神秘主義やエゾテリスムを湛えた、生と性、死と不死、世界、神、自我をめぐるリベルタンたちの禍々しき饗宴。

著者等紹介

マムレーエフ,ユーリー[マムレーエフ,ユーリー] [Мамлеев,Юрий]
1931‐2015。1931年、モスクワの精神科医の家庭に生まれる。55年に林業大学を卒業し、57‐74年にかけて夜間学校で数学を教える。学生時代から執筆を始め、エゾテリスムに彩られたその形而上的な作品は地下出版で仲間内に広まった。58年には自身のアパートで伝説的なサロン「ユジンスキー・サークル」を組織し、多くのアンダーグラウンドの文化人たちが訪れた。74年に妻とアメリカへ亡命、コーネル大学でロシア文学を教え、83年にはフランスへ移り、東洋言語文化学院等で講義を行う。哲学的著作も著している。アンドレイ・ベールイ賞等の文学賞のみならず、その文学的功績に対して国家友好勲章が授けられた

松下隆志[マツシタタカシ]
1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。岩手大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

40
この作家の目には世界がどう見えているのか。屡々微妙に異なった意味で使われる”世界観”という言葉で考える。猥雑で目まぐるしい程にテンポが良く、狂気を狂気と思わせない独自の道徳律や哲学によって推進する紛れもない怪作。難解は難解だが、凡そ我々常人の理解を期待していないような隔絶感がある。読んでいて思い出したのは筒井康隆の「最悪の接触」。絶対に理解しえない異星人や怪物(もとい異人)の世界観とはこういうものなのかもしれないと思った。物語性のあるソローキンやペレーヴィンと比べるともっと濃度の高い原液っぽい。2024/01/28

マリリン

29
何とカオスな!! 登場人物全てが頭からダイブしたり、よろめきながら堕ちたり、彷徨いの果てに浸かったり…、哲学的色彩の中に狂気が宿るとんでもカオスな世界を彷徨う登場人物たち。人間である事に背きたくなったのか鳥に変身したニキーチチ、殺っちゃいたい気持ちが強いフィヨードル・ソソノフ、自らを慰める手段が独特なクラーワ等登場人物の理解を超える嗜好が何とも。タイトルから当時の社会が垣間見えるが“穴”は多様。ソローキンの作品のように情景の美しさは感じないが文体に惹かれるのは訳者の力量か。ロシア文学の力を感じる。2025/02/09

taku

15
さあみんな集まってー、奇人祭が始まるよー。通底しているものは何だ? 人を殺っちゃったり、人をやめちゃったり、哲学的思考で悦に入っちゃってたり? 誇張があるにせよ、現実を蓄えられない穴持たずの連中が、多々いておかしくない時代背景から生まれた作品だと想像する。何を考え何をしているのかは書かれても、理解は別。パッパパラパー的な狂気と、タッタタラリラ的な解とも快ともつかない感じがあり、怪作の名にふさわしい。フョードルとアリョーシャの名から、カラマーゾフは意識しているだろう。アリョーシャは同じ役割をさせようと2024/11/28

ポテンヒット

13
狂度120%。ヤベー奴しか出てこねえ。唖然・呆然としながらも何とか読了出来たのは、語り手が冷静だからか。穴持たずとは、冬に巣ごもりする穴を見つけられなかった獰猛な熊のこと。登場人物もロシアの体制や現実に身の置き場がなく、自身の内部へと突き進むしかない者たち。著者はエロフェーエフとも親交があり、ソローキンやペレーヴィンに影響を与えたといわれるが、これを読むとソローキンが純文学に思える。物語で唯一まともなのがアリョーシャで父親と共に現れるが、カラマーゾフへのオマージュなのだろうか?ドストエフスキー再読しよう。2024/09/12

さとまる

9
珍獣博覧会?ほぼ全ての登場人物が異常者であり、そうでないごくわずかな人たちも異常者にあてられて狂ってしまう。ソローキンに影響を与えたというのも納得のカオスっぷりでストーリーもなにもあったもんじゃない。だけどそれが良い。作中に登場する「我教」なる己のエゴを愛する宗教は、ソビエト時代のなにかのパロディなのだろうか?死鶏もなにかのメタファーのように感じるがわからない。とにかく頭がおかしなポストモダン的小説を読みたい人にはお勧め。2024/12/11

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21668060
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。

最近チェックした商品