出版社内容情報
つねに変化をつづける世界を、どう捉えるべきか? 思考でそれは可能なのか?――「哲学的直観」を説く試論と講演。実在論たる『精神のエネルギー』と対をなすベルクソンの認識論。
内容説明
哲学者であるとともに科学者、そして文人でもある知の巨人―。ベルクソンの統一的な全体像がわかる、本邦初の個人完訳。
目次
1 序論(第一部)真実性の増大 真実的なものの退行的運動
2 序論(第二部)問題の所在について
3 可能的なものと現実的なもの
4 哲学的直観
5 変化の知覚
6 形而上学入門
7 クロード・ベルナールの哲学
8 ウィリアム・ジェームズのプラグマティズムについて
9 ラヴェッソンの人生と作品
著者等紹介
ベルクソン,アンリ[ベルクソン,アンリ] [Bergson,Henri]
1859‐1941。パリ生まれのフランス人哲学者。高等師範学校卒業後、リセ教授を経てコレージュ・ド・フランス教授。1914年にアカデミー・フランセーズ会員となり、28年にノーベル文学賞受賞
竹内信夫[タケウチノブオ]
1945年、大阪府生まれ。1963年に香川県立高松高校卒業、東京大学入学。1970年に東京大学卒業、同大学院進学。1973~76年、パリ第4大学(ソルボンヌ)留学。明治学院大学文学部、東京工業大学工学部、東京大学教養学部・同大学院総合文化研究科で教師を務める。2007年に定年退職。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いとう・しんご singoito2
9
めっちゃ面白かった。多分「新プラトン主義を学ぶ人のために」きっかけ。彼の哲学的な歩みと舞台裏を見せてくれる論文集。ベルクソンの本はどれも当時の哲学や心理学に対する批判が含まれていてその部分は分かりにくいけれど、それを除くと、精神と物質の相互浸透とか常に道の変化を遂げる持続とか刺激的で創造的な言葉が溢れている。今朝のラジオのフランス語講座でEUが多様性の中の統一性を目指しているという話しをしていたけれど、ベルクソン的な矛盾と対立の統一を目指す理念が現実に追求されていることに感銘せざるを得ない。2024/05/23