出版社内容情報
シェイクスピア、セルバンテス、モリエール……喜劇的なるものをめぐって、ベルクソンが試みた最初の社会学的考察。
目次
第1章 喜劇的なもの一般について―形態の喜劇性と運動の喜劇性 喜劇的なものの伝播力
第2章 状況の喜劇性と言葉の喜劇性
第3章 性格の喜劇性
著者等紹介
ベルクソン,アンリ[ベルクソン,アンリ][Bergson,Henri]
1859‐1941。パリ生まれのフランス人哲学者。高等師範学校卒業後、リセ教授を経てコレージュ・ド・フランス教授。1914年にアカデミー・フランセーズ会員となり、28年にノーベル文学賞受賞
竹内信夫[タケウチノブオ]
1945年、大阪府生まれ。1963年に香川県立高松高校卒業、東京大学入学。1970年に東京大学卒業、同大学院進学。1973~76年、パリ第4大学(ソルボンヌ)留学。明治学院大学文学部、東京工業大学工学部、東京大学教養学部・同大学院総合文化研究科で教師を務める。2007年に定年退職。東京大学名誉教授。訳書、モーリス・パンゲ『自死の日本史』で渋沢・クローデル賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レートー・タト
2
『意識の直接与件』を読んだ後すぐにこれを読んだためか、その議論の中核的な主題である「自由」の問題と『笑い』において展開されている議論との関連性が気にかかった。ベルクソンは、笑いについて理解するにはそれを社会集団に置き直さなければならないとし、社会集団における笑いの担う有用な機能を規定しなければならないと述べている。彼によれば、この笑いの社会的機能とは各個人の頭上に「矯正」の脅し、屈辱の予感とでも言うべきものを漂わせる所に見出されるのであり、笑いの真実の姿とは一種の社会的新人いじめだと述べられている。2011/12/28
PukaPuka
1
なんで哲学者が笑いについて書くのか不思議で、昔(中学生か高校生の頃?)から一度読んでみたいと思っていた。喜劇的な笑いについての論考で、いくつも戯曲が参照されるから、演劇に詳しい人は一層面白いかも。自分としては、あまり得るものはなかった。笑い一般の深い洞察を期待すると、何か物足りないまま終わる。2016/01/24
ミル
1
タイトルから、笑いについて詳細に記述されているものだと思って読んだけれど、喜劇的な笑いを主として論考を試みているのだと分かり、結局のところ笑いは外的な表象に対する威嚇的で自己防衛的なポーズであるという分かり切ったものだった。ベルクソンの著書はこれが初めてだったので、彼の思考方法として二元論から一つの純粋な整合性を作り出す特徴があるとわかった。この本で人間の「笑い」についての全てがわかるわけではないけど、きっかけとしてのつながりにはなる面白さはあった。もはや古い「固さ」の古典喜劇も読むべきだろうか?2013/12/09
とも
0
文章がもったいぶってややこしくて、読むのに疲れたし眠かった。よっぽど木村洋二の笑いの社会学のが良いので、おすすめする。第三章に入ってやっとなにが言いたいのかが分かった。すべては固さである。社会的不適応をほぐすためにあるのが笑い。笑いが起こるならば、そこには社会的不適応が存在するということ。ただ私はかなりさらさら読んだところがあります。正直に言っておこう。
鹿乃
0
人間はどのようなものを面白がって笑うのか、その分析は興味深く読めたのだが、寧ろ本題であろう笑いが社会で果たす役割についての論考があまりピンと来なかった。更なる読み込みや勉強が必要そう。訳文は読み易く、巻末の訳者による註釈は丁寧で詳細。ベルクソンの他の著作との関連も一つ一つ拾い上げて説明されており、そちらも是非読んでみたくなった。2012/10/10