内容説明
安見藩の女医である桑山伊都子は、藩主に叛旗を翻した佐野家一族の女たちを“生かす”よう命ぜられる。男たちはことごとく上意討ちとなっていた。どうやらお世継ぎ問題とも関わりがあるようだ。やがて女たちの屋敷に天狗の面を被った曲者が忍びこむが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
132
葉室麟は、新作中心に読んでいる作家です。著者は多作のため、ワンパターンが多いですが、今回は変化球で、少し動くボールです。ミステリ色もあり、一気読みでした。但し、主人公の伊都子よりも魔性?の女、初の方が魅力的かも知れません。2017/03/26
いつでも母さん
96
女の幸せとは何だろうー読了後ふと、そんなことを思った。葉室作家の描く『女のいくさ』生き抜くことが武家の女の務め。時には死よりも辛い・・かぁ。きぬ・芳江・初・春・その・ゆり、そして女医の伊都子。この中のどこかに自分の思いが紛れてはいなかっただろうか。なんて言うのは自意識過剰だが、きぬの決意と初の思いはちょっとグッときた。初が言う「実際の私を見ようとはせず、ご自分が見たい私をみている」は苦手な人に対する私にも言えはしないかとドキッ!今作は葉室麟の新境地ではないだろうか。また読んじゃう?私。2017/04/14
ゆみねこ
65
藩の重臣佐野家は藩主に背き上意討ちとなる。一族の女たちは白鷺屋敷に軟禁され、女医・桑山伊都子は「女たちを生かせ」との命を受け屋敷に赴く。生き抜くことは武家の女の戦、読みやすくて面白かったです。2019/04/11
真理そら
60
再読。『秋月記』を再読したせいで何度目かの葉室作品再読モードに突入してしまった。2021/02/09
baba
45
上意討ちで残された重臣の妻子たちの看護と世話に藩命で出かけた女医師伊都子が見たものは、今までの作風と違いミステリーで、妖しくドキドキする展開。独りよがりな男の身勝手に、思うように生きられない武家の女の戦いが胸に応える。語り手の伊都子よりむしろ、きぬの聡明さと覚悟、初の悲しさが際立っていた。2017/05/11