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内容説明
チトー体制下の旧ユーゴスラヴィアで、四月一日に生まれたイヴァンの数奇な運命とは?ユーゴ激動の時代、戦争の狂気と不条理な現実を皮肉なユーモアがあぶり出す。世界十ヵ国で翻訳された、実力派クロアチア人作家による異色の長篇。生と死が交錯する、悪夢のような人生の記録。
著者等紹介
ノヴァコヴィッチ,ヨシップ[ノヴァコヴィッチ,ヨシップ][Novakovich,Josip]
1956年、クロアチアのダルヴァル生まれ。20歳のときにアメリカに移住。83年、イェール大学大学院修了。これまでにInfidelities(2005)など3冊の短篇集を刊行し、プッシュカート賞、ホワイティング賞など数々の文学賞を受賞している。現在、ペンシルヴェニア州立大学教授。『四月馬鹿』が初の長篇小説である
岩本正恵[イワモトマサエ]
1964年生。東京外国語大学英米語学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
5
「四月馬鹿」の名にふさわしく、主人公イヴァンは歴史的な状況からちょっかいを受け、何度も悪い冗談のような立場に追い込まれる。ある男の一生とでも言うべきこの本は紆余曲折を経ながらも、物語を3分の1も残すところで、イヴァンに不思議な出来事が起こる。彼の人生は歴史が大きく圧力を加えていたが、それだけではなく彼自身にも問題があり、どんな状況でも自己批判せず、何かに責任を転嫁しようとする癖があった。その彼が公的な身分を喪った時に、歴史から逸脱し達観した意識のもとで彼自身の人生が始まる。ある種の宗教的荘厳ささえ感じた。2012/11/12
なじゃ
3
1948年4月1日にユーゴスラヴィアに生まれ、最も平凡でありがちな「イヴァン」という名前をつけられた男の、悪い冗談のような一生を描いた物語。自意識過剰で、思い込みが激しく、愛国心も向学心もどこかいつも的外れな主人公だが、ユーゴスラヴィアを巡るあらゆる悲劇に巻き込まれ、陰惨な経験を生き延びた末にも、相変わらずの生き方を続け、その空気読めなさをある意味まっとうしてしまった意外なラストにはちょっぴり微笑ましいものを感じた。物悲しさと馬鹿馬鹿しさ、悲劇と喜劇の間を常に揺れ動き続ける不思議な肌触りの一冊。2009/02/25
蘭奢待
1
おそるべき作品。あくの強い主人公と、クロアチア、セルビア、ユーゴスラビア。そして、西側の代表としてのドイツ、アメリカ。混沌とした社会情勢とその中で生きていく人々。訳も秀逸。2017/07/23