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出版社内容情報
『侍女の物語』前夜のアトウッド
世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから若い夫婦が深める孤独(「ケツァール」)、悩める医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など──アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びが、複雑と混沌のままに示される。
「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より)
【目次】
内容説明
日常に潜む違和、まだ形をなさない、けれどたしかな予兆…世界の歪みを少しだけ垣間見せる全7編。『侍女の物語』前夜のアトウッド。
著者等紹介
アトウッド,マーガレット[アトウッド,マーガレット] [Atwood,Margaret]
小説、詩、ノンフィクション、批評、児童文学など多ジャンルにわたる活動で知られる、現代カナダを代表する作家。1939年、オタワ生まれ。カナダ北部の自然の中で育ち、トロント大学を経て、ラドクリフ・カレッジで文学の修士号を取得。64年に第一詩集『サークル・ゲーム』を発表、69年に『食べられる女』で小説デビュー。77年に初の短編集として『ダンシング・ガールズ』を刊行した。二度のブッカー賞をはじめ、カナダ総督文学賞、アーサー・C・クラーク賞、ギラー賞、ハメット賞、フランツ・カフカ賞など数々の名だたる賞に輝く
岸本佐知子[キシモトサチコ]
上智大学文学部英文学科卒。翻訳家。著書に『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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