出版社内容情報
草の根の人びとにとって紛争による苦しみとは何であり、紛争からの回復とは何を意味するのか。医療人類学から分析したエスノグラフィ
【目次】
プロローグーー支援からこぼれ落ちた人びと
第1章 生きることを支える支援のあり方を求めて
一 紛争地、心の支援の失敗
二 失敗はなぜ起こったのか
三 失敗を超える手立て
四 人間としての苦しみ、そして癒し
第2章 沈黙が生まれたいきさつ
一 内戦とジェノサイド
二 侵入者たち
三 焼け野が原
四 ヴィルンガの山々に抱かれて
第3章 大切な人たちを殺された苦しみ
一 イビコメレ
二 あの穴の中に
三 語りえぬもの
四 そして精神の病いに至る
第4章 回復の道のりは未来へと向かう
一 未来志向の回復
二 蘇生する共同体
三 きずなの再生
四 生きてゆく意味
五 和解と赦し
第5章 いのちの円環
一 愛と助け合いについて
二 病いに伏す老女
三 未来を信じることはできるか
四 いのちの終わり、そして始まり
第6章 回復の限界
一 重い精神の病い
二 助け合いのルール違反
三 分かち合えない体験
四 分かち合われる日々の営み
第7章 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか
一 語りえぬものを癒す
二 共に生きる
三 未来へ
四 いのちは続いてゆく
五 生きることを支える支援のあり方を求めて
エピローグーーより善い未来を創り出そうとし続けるその試み
注 記
謝 辞
参考文献
付 表
年 表
索 引
内容説明
アフリカ大陸の中央に位置する小国、ルワンダ。そこに住む人びとは、1990年代に内戦と虐殺、殺戮、難民化といった幾多の惨事を体験した。とくに、1994年に起きたジェノサイドは、20世紀における重大な人道問題のひとつとして世界的に注目を集めた。本書は、政府から抑圧され、国際支援の枠組みからもこぼれ落ちてしまった住民たちの心の「回復」を、つぶさに描いた民族誌である。権力を握る存在によって沈黙させられ、ほとんど顧みられることのない人びとに光を当て、彼らと同じ目線に立って世界を眺め、彼らの生きてきた体験と記憶を丁寧に描き出す。
目次
プロローグ―支援からこぼれ落ちた人びと
第1章 生きることを支える支援のあり方を求めて
第2章 沈黙が生まれたいきさつ
第3章 大切な人たちを殺された苦しみ
第4章 回復の道のりは未来へと向かう
第5章 いのちの円環
第6章 回復の限界
第7章 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか
エピローグ―より善い未来を創り出そうとし続けるその試み
著者等紹介
大竹裕子[オオタケユウコ]
ロンドン大学衛生熱帯医学研究院博士課程修了、博士(Ph.D.、心理学・医療人類学・国際医療保健政策学)。東京大学医学研究科非常勤講師、英オックスフォード大学医療人類学研究室リサーチフェロー(日本学術振興会海外特別研究員)などを経て、現在、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)社会学研究院マリーキュリー・フェロー。英国外務省「アフリカ包括的支援に関するワーキンググループ」共同議長、横浜市立大学客員准教授を兼任。国際支援における新植民地主義と、民衆による脱植民地化の動きをテーマに、グローバルな社会構造のなかで抑圧される人びとの声と人間的な豊かさを、国際政策や国内政策に反映させるための研究・活動を行っている。日本外務大臣感謝状他、学会賞の受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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