出版社内容情報
医師の眼と詩人の手つき
宿痾、痛み、性と死、澱汚と諦念……ソ連崩壊前夜に小説の新たな沃野を拓いたパレイの初期三部作――「追善」「エヴゲーシャとアーンヌシカ」「バイパス運河のカビリア」――で描かれるのは、グロテスクが発酵する日常を淡々と生きる、行き場のない人びとであり、その生は言ってみれば「いずれもそれぞれに不幸なものである」。とはいえ、幸福な生が必ずしも美しいものとは限らないし、不幸な生が醜いわけでもない。医師でもあったパレイの自伝的要素もまとった語り手は、幼い日に祖父母の家で目の当たりにし
【目次】
内容説明
荒々しくも繊細に紡がれる、人間の悲哀と強かさ。ソ連崩壊前夜に新たな小説ジャンルを切り拓いた女性作家の初期三部作。体液や肉をもって実存が描かれ、病が文体に化体する、新たなる「テクスト・ペテルブルク」
著者等紹介
パレイ,マリーナ[パレイ,マリーナ] [Палей,Марина]
1955年、レニングラードのユダヤ系家庭に生まれる。78年にレニングラード医大を卒業、数年間、医師として勤務。その後、ボイラーマン、モデル、掃除人などさまざまな職業を転々としたのちゴーリキイ文学大学へ入学。在学中の90年に本書収録の「エヴゲーシャとアーンヌシカ」が雑誌『ズナーミャ』に掲載され話題となり、本格的に作家活動を開始。95年にロッテルダムで開催された「ストーリー・インターナショナル・フェスティバル」で「ロシアの文体のプリンセス」の称号を授与され、2010年には長篇『コーラス』でロシア賞を受賞。00年には長篇『ランチ』でロシア・ブッカー賞、05年には中篇『小さな村』でベールキン賞、06年には長篇『クレメンス』でボリシャヤ・クニーガ賞、09年には中篇『ラーヤとアード』でふたたびベールキン賞のそれぞれ最終候補にノミネートされている。1995年よりオランダへ移住。ロシア語での小説、戯曲、詩の執筆を続け、映像作品なども創作しているが、ロシアの経済活動へ寄与することを拒み、近年は自費出版とSNSを中心に新作を発表し続けている
高柳聡子[タカヤナギサトコ]
早稲田大学文学研究科博士課程修了。文学博士。専門はロシア現代文学、ロシアのフェミニズム。早稲田大学、東京外国語大学などで非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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