出版社内容情報
〈国際ブッカー賞〉〈全米図書賞〉最終候補作品
1988年8月18日午後2時35分に、村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で母さんは啓示を受けた。まさにそれと同じ瞬間、兄さんのソフラーブは絞首刑になった。
それを遡ること9年、イスラーム革命の最中に、テヘランの私たち一家は熱狂した革命支持者たちによって家に火を放たれ、かけがえのないものを失った。私たちは道なき道を分け入り、ようやく外界から隔絶された村ラーザーンにたどり着く。そこは奇しくも1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒が隠れ住んだ土地だった。
静かな暮らしを取り戻したと思ったのもつかの間、村にも革命の波が押し寄せる。ある日ソフラーブが連行されると、母さんのロザー、父さんのフーシャング、姉さんのビーターの身にも次々に試練が降りかかる……。
13歳の末娘バハールの目を通して、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。『千一夜物語』的な挿話、死者や幽鬼との交わり、SNSなどの現代世界が融合した、亡命イラン人作家による、魔術的リアリズムの傑作長篇。
内容説明
1988年8月18日午後2時35分に、村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で母さんは啓示を受けた。まさにそれと同じ瞬間、兄さんのソフラーブは絞首刑になった。それを遡ること9年、イスラーム革命の最中に、テヘランで幸せに暮らしていた私たち一家は熱狂した革命支持者たちによって家に火を放たれ、かけがえのないものを失った。私たちは道なき道を分け入り、ようやく外界から隔絶された村ラーザーンにたどり着く。そこは奇しくも1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒が隠れ住んだ土地だった。静かな暮らしを取り戻したと思ったのもつかの間、ラーザーンにも革命の波が押し寄せる。ある日ソフラーブが連行されると、母さんのロザー、父さんのフーシャング、姉さんのビーターの身にも次々に試練が降りかかる…。13歳の末娘バハールの目を通して、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。『千一夜物語』的な挿話、死者や幽鬼との交わり、SNSなどの現代世界が融合した魔術的リアリズムの傑作長篇。国際ブッカー賞、全米図書賞最終候補作品。
著者等紹介
アーザル,ショクーフェ[アーザル,ショクーフェ] [Azar,Shokoofeh]
1972年イラン生まれ。イランでジャーナリストとして活躍し、『ペルシア文学百科事典』の編著、シルクロードの踏破本などを発表していたが、2011年に政治難民としてオーストラリアに移住し、現在はパースに暮らしている。創作はペルシア語で行っており、小説デビュー作の『スモモの木の啓示』も元々はペルシア語で書かれた。2017年に英訳版がオーストラリアで出版されて“ステラ文学賞”最終候補になり、大きな話題を呼んだ。そして2020年に英米を含む広い地域で発売になり、“国際ブッカー賞”と“全米図書賞”の翻訳文学部門の最終候補に残った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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