出版社内容情報
南米パラグアイのジャングルに純粋アーリア人の「新しき村」を建設、さらに兄ニーチェの著作を改竄してヒトラーに接近し、ナチの思想的バックボーンを打ちたてた女性の驚くべき生涯。(書物復権)
内容説明
南米パラグアイのジャングルに純粋アーリア人の「新しき村」を建設、さらに兄ニーチェの著作を改竄してヒトラーに接近し、ナチの思想的バックボーンを打ちたてた女性の伝記。
目次
第1章 パラグアイアスンシオンの船着場―一八八六年三月十五日
第2章 未知の国
第3章 川をさかのぼって
第4章 白い貴婦人と新ゲルマーニア
第5章 騎士たちと悪魔たち
第6章 ラマの国のエリーザベト
第7章 権力への意志
第8章 祖国の母
第9章 新ゲルマーニア―一九九一年三月
著者等紹介
マッキンタイアー,ベン[マッキンタイアー,ベン][Macintyre,Ben]
1963年、英国生まれ。ノンフィクション・ライター、コラムニスト。『ザ・タイムズ』のワシントン支局長、パリ支局長を務めた。現在までに7冊のノンフィクションを発表し、いずれも高い評価を受けている。ロンドン在住
藤川芳朗[フジカワヨシロウ]
1944年生まれ。東京都立大学大学院修了。ドイツ文学専攻。横浜市立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
63
表題だけで借りてちょっと戸惑った。ニーチェの妹は反ユダヤ主義の夫とともに、パラグアイでドイツ系移民で入植していた。当時のパラグアイの状況と現在の入植村を著者が取材する箇所と、ニーチェを中心とした妹の評伝で構成されている。夫の自殺後、家に戻った妹は廃人の兄の面倒を見ることに。妹は兄の大量の遺稿を都合よく切り貼りし、自分の信条に合わせた都合のいい兄の姿を創作する…… パラグアイの紀行文を読むとは予想外。南米はどこも同じような酷い歴史を抱えている。評伝自体は辛辣だがいろいろ興味深い。2017/03/23
星落秋風五丈原
30
ニーチェの妹夫妻がパラグアイにつくりあげた理想郷を探す著者と過去を並行して描く。生前はまったく馬が合わなかった兄妹なのに死後の改ざんがひどい。2017/03/16
ゆずこまめ
5
異常に自己愛が強く見栄っ張りで、でも行動力はあるという。ニーチェもやっかいな妹を持ったな… 妹がおそらく何の罪悪感もなしに事実を改ざんしただろうと思うとゾッとする。2018/11/26
塩崎ツトム
5
エーコの「プラハの墓地」もそうだけど、自己愛の塊の人間というのははなはだ恐ろしい。2017/07/26
コラッジョ
3
ニーチェとナチスを接近させた責任者、エリーザベト・ニーチェについての伝記。 ニーチェ自身は、妹が反ユダヤ主義者と結婚すると聞いて激怒して絶縁したらしいが、結局エリーザベトの作った南米の理想郷は、今でもパラグアイに実在しているという。2016/05/12