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内容説明
ベラスケスの『鏡のヴィーナス』よりも美しく、大切で、愛しい存在―人妻の秘書アガーテに、お人好しの町長ティボ・クロビッチが恋をした!バルト海沿岸、路面電車がはしる北欧の小さな町を舞台につむがれる、不思議な味わいのラブストーリー。スコットランド・ファーストブック賞受賞作品。
著者等紹介
ニコル,アンドリュー[ニコル,アンドリュー][Nicoll,Andrew]
1962年1月4日、スコットランドのダンディーで生まれる。英国の新聞『The Sun』への寄稿をはじめジャーナリストとして活躍するかたわら、詩や短篇小説を発表。デビュー作である『善良な町長の物語』は、電車通勤のなか18か月で執筆され、みごとスコットランド・ファーストブック賞を受賞
伊達淳[ダテジュン]
1971年生まれ。和歌山県那智勝浦町出身。関西学院大学商学部卒業。東京外国語大学欧米第一課程卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
63
純愛にはまった男主人公って文学上にたくさんいるけど、例外なくみんなめんどくさいけれど(ヒースクリフ、アルマン、ウェルテルとか)、この小説の主人公の町長ティボはとりわけまだるっこしい。中年の独り者の片恋ほど始末に負えないものはないね。究極のすれ違い、とことん草食系。後半は幻想文学の色合いが増す。メタモルフォーゼ譚の一種だけど、本当に変身したのか、精神的なものか、曖昧。語り手が町の守護聖女というのも特徴。まさしく神の視点。電車の中で書かれたから、トラムのシーンが多いのか。アガーテの夫はどうなったのかな?2016/07/07
アイA♡
10
夫に大切にされないアガーテとアガーテを愛する町長の話。お互い惹かれ愛し合いながらも、中々一線を越えられず煮え切らない町長に嫌気がさし、手近な男へ走っしまうアガーテ。その男はヒモで身勝手な犯罪者。後半はファンタジーな世界になり意外な展開。幻のサーカス団とか。『無駄にしていい愛なんて一滴もない』というテーマ。でもタイミングって大事。あの時踏み出していればこんなドロドロにならずに済んだのに。2015/02/22
syachi
5
もどかしい!何これ!ってな具合にいい年した町長と既婚者の秘書のもどかしい恋愛模様が。しかしあまりのもどかしさが故に…というのとちょっと不思議な展開が。前半のもどかしいパートがちょっと長いからそれに耐えられるかどうかってのはあるかも。2015/08/16
りつこ
4
あははは。変な話!(←ほめてます) いやもっと変な小説はいくらでもあるけど、すごくフツウなのにいきなり予想外の展開になるところとか、小説全体のテンションとか、そういうところが、なんかとっても独自。妙にリアルで身につまされたり、妙にファンタジーっぽくて「あれれ?」となったり。帯には「第二のジョンアーヴィング」とあったけど、アーヴィングではないなぁー。でも、なかなかよかった。他の作品も翻訳されるといいな。2010/03/09
doma
4
最初は物語として面白く読んでいたけれどもあまりに的確な心理描写に感情移入しすぎて辛くなったり。善良とか正しさって全然良いものじゃない!と女性的に脊髄反射してみたり。しかし作者は男性なのによくこんなに女性の気持ちを描けたものだと感服。そして幸せになるためにはこんな辛苦を乗り越えなくてはいけないのか・・・。2010/03/01