内容説明
大正末期、この音楽が詩人の魂を揺らした。一編の詩からたどる日本のジャズのあけぼの。
目次
1 宮澤賢治とジャズ(ジャズを謳う;「セロ弾きのゴーシュ」と活弁の時代;ジャズ・エイジと宮澤賢治 ほか)
2 ジャズのあけぼの(宮澤賢治の故郷;ジャズの浅草;川端康成の『浅草紅団』とジャズ ほか)
3 不良少年少女とジャズ(モボ・モガとジャズ・ソング;エノケンとカジノ・フォーリー;夢野久作の不良少年少女論 ほか)
著者等紹介
奥成達[オクナリタツ]
1942年東京生まれ。タウン誌編集長などを経て、現在青山学院大学講師。詩人・エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kazissho
4
宮沢賢治とジャズを肴にその当時の社会を覗くという感じなのだが、なかなか実感を持ってイメージできない。昭和に入ってからのことはなんとなく風景を思い浮かべることができるが。語られているのはずいぶん遠い昔のことだと思いきやたった1世紀前の話なのだと変な感慨を覚える。2015/11/14
qoop
2
日本ジャズの揺籃期から第二次大戦までを扱った、ジャズ観の変遷史。賢治のジャズ観を書いたものではないので注意。内容は豊富だが視点が定まらないため、概説的な読み方は似合わない。むしろ著者と向き合い、話を聞いている感覚で読んだ方が良さそう。2010/03/27
秋色の服(旧カットマン)
1
戦後モダンジャズの洗礼を受けた世代による戦前ジャズ史回顧。その探求は、賢治の現代性は彼が既に1925年にはジャズを知っていたからだ、という発見から始まった。タイトルからは、「賢治はいつ、どうジャズと出会ったか」を歴史探偵のように追求していると想像したが、違った。賢治のジャズ詩から、彼のジャズ理解がいかに本質的だったかを、その後の日本のジャズ史の軌跡と、死後高まっていった賢治作品評価を振り返りながら論証しているという、結構ややこしい本です。2016/11/24
nekotennperu
0
中原中也は18才の時に賢治の詩と出会ってから「春と修羅」を愛読していた。初めて知りました。「彼は想起される印象を、刻々新しい概念に、翻訳しつつあった・・。現識は現識のままで、ほれぼれとさせるものであった。彼は、その現識を、できるだけ直接に表白出来さえすればよかった。」とある。その通り、と思う。 辻潤の賢治賛歌は見事に賢治の詩の本質、音の響きの異常なまでのクリアネスとリズム感、その言葉の選び方による音楽性を捉えて素晴らしい。書き手は、日本のジャズ史を書いている方です。詩人についてもよく知る方のようです。2017/07/29
林克也
0
宮澤賢治がジャズを聴いていて、それを文章で表現していたことは感慨深い。しかし、この本は大正から昭和初期の世相を、ジャズという切り口で調査したものであり、宮澤賢治に関しては、著者の思い入れが強いことは分かったが、本のなかでは表現不足と思う。2010/05/02
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