内容説明
裸で歩く音楽、「それに合わせて人が歩く」音楽、通りすぎる音楽、そのシルエットがかすかに何かを思わせる音楽。サティの作品には年齢がなく、どんな作曲家のどんな作品にも論理的に結びつくということはない。ひかり輝く個性と作品の真髄を明晰に解説。
目次
社会のなかの単独者
ジムノペディストの苦悩
「秘教的サティ」
緑色の瞳の少女
時宜を得た微罪
パリジャン、サーカスへ行く―『パラード』
二つの美学のはざまで―『雄鶏とアルルカン』
「骨から救われた」―『ソクラテス』
舵を左へ
何もかも捨ててしまえ
ドビュッシーとサティ
著者等紹介
レエ,アンヌ[レエ,アンヌ][Rey,Anne]
1944年生まれ。音楽史学専攻(パリ大学)、音楽評論家。『ル・モンド』紙の音楽欄などで活躍
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
胆石の騒めき
13
(★★★☆☆)サティについて何も知らなかったと思い知らされる。有名な「ジムノペディ」と「グノシエンヌ」は1888-1890年に作曲されているが、それは作曲者が20代前半のころ。そこから、彼の人生は30年以上続くが、その間の作品をほとんど聴いたことがない。常に新しいものを取り入れようとし、コクトーやピカソと共に舞台作品を制作したこともある。しかし、最後に到達したのは「趣のない、面白みのない、攻撃的な悪ふざけの第一人者」という地位であった。「ジムノペディスト」から脱却した彼の作品を聴いてみたいと思った。2018/09/17
Satoshi Akatsuki
7
楽曲の分析6、サティの人生4くらいの割合。音楽がまったくの門外漢なので、もう少しサティ本人のことを知りたかった。なんだか悲しくもあり、羨ましくもある孤独を愛した人。音楽がなかったら、かなりあぶない人だけど。その楽曲どおりの、魅力溢れる人物です。僕の文章読解力が乏しいのか、翻訳がいまひとつなのか、原文が分かりにくいのか、理由はわかりませんがなんだか読みにくかった。2016/03/12
にしの
4
サティの音楽がいかに体系化が難しいかを体系的に述べた本著は、非常に産みの苦しみがあったのではないでしょうか。サティはロマン派、印象派、ダダと前衛の時代を生き、またそこで(反抗しつつ)認められようともがいた作曲家でした。ドビュッシーとの関係を述べたコラムが特にお気に入りです。2020/03/25
Saku
4
孤高の変人としてのエリックサティを知りたかったのだけれども、ある程度の音楽や当時の時代背景(とくにダダイズムとかの芸術史)の知識が必要だった。訳書だからか、章立てからしてわかりづらかった。2011/04/10
sayori
3
「音楽を何度もリピートさせること」に意味を持たせ、「家具のように、邪魔にならない音楽」を追求していた孤高の作曲家・サティ。彼が本当にほしかったものは、名声じゃなくて、人のぬくもりだったんだと思う。2011/03/06