出版社内容情報
英国女王、読書にハマる。おかげで公務はうわの空、側近たちは大あわて。人生を変え視野を広げる読書の力についての、楽しくも深い物語。
内容説明
ある日、愛犬を追ってウィンザー城の裏庭にやってきた女王陛下は、移動図書館の車と、本を借りにきていた厨房の下働きの少年に出くわす。あくまでも礼儀上、一冊借りたことが、人生を変える、本の世界への入り口となった―。エリザベス二世を主人公に、ユーモアと、読書についての鋭い洞察と、本好きをうなずかせる名言に満ちた物語。
著者等紹介
ベネット,アラン[ベネット,アラン] [Bennett,Alan]
1934年、イギリスのリーズに生まれ、オックスフォード大学で学ぶ。劇作家、脚本家、俳優、小説家。数多くの演劇、テレビ、ラジオ、映画の脚本を執筆し、2006年には『ヒストリー・ボーイズ』でローレンス・オリヴィエ賞、トニー賞受賞、同年のBritish Book AwardsでAuthor of the Yearに選ばれた。他受賞多数
市川恵里[イチカワエリ]
翻訳者。早稲田大学第一文学部英文学専修卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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日曜日のクマの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
125
女王陛下は読書に夢中。コーギーに導かれるように移動図書館に足を踏み入れたことがきっかけで女王(エリザベス2世)の読書熱が始まる。本は彼女の日常を変え、側近たちはその様子におろおろしてしまうが…。何より女王がチャーミング。飾り気のない英国流のウィットに富んだ語りに思わず笑みがこぼれる。ひょっとしたら本当にこんな人だったのかも。そして行動こそが彼女の務めという言葉もなるほど。最後は思わず声が出た。読書の面白さは誰にも同じで、読書が人生にもたらす恩恵も同じなのだ。英国文学の幾つもの小ネタも面白くて参考になった。2022/09/11
chimako
96
面白かった!日本で言うところの後期高齢者の女王が初めて「本を読む」事にとらわれていく。読書の楽しさ、感想を共感する喜び、感銘と内省。寸分の隙もないコーディネートに狂いが生じ、同じブローチをつけたり2週間で2回も同じフロックコートを着て周りは首をかしげ、女王の読書に関して近習たちは苦々しく思う事になる。読書仲間の若者を遠ざけ、事あるごとに読書の無意味を語る。が、彼女は負けず読み続ける。やんごとなき生まれが故に孤独であった女王は本に教えられ慰められ目覚めていく。80歳のお茶会を覗いてみたかった。2022/11/06
けんとまん1007
77
次のページをめくるのが楽しくて・・という物語で、久しぶり、こんな楽しさを感じた。エリザベス女王を主役に、こんな物語を書ける文化が素晴らしいと思う。喜劇であり、風刺劇であるように思う。そして、本の持つ力を再認識できるのもいい。ますます、読書の勤しみたいと思う。2023/06/24
道楽モン
69
2007年英国のベストセラー。70代のエリザベス女王が読書に目覚め、怒涛の勢いで本を読みあさるという英国流の風刺コメディだ。公務の合間にも読書をやめず、首相に本を押しつけ、外交の場でも話題は本ばかりで枢密院を困惑させる。政治家や上流階級が本を読まない現実を皮肉る視点と、読書によって他人への想像力を深めるという王道の展開が融合している。女王は在位が長かったので、古典となった作家にもかつて勲章を授けたという事実に笑ってしまう。現実の世界では、カミラ王妃は国民の読書向上に注力している(by News Week)2025/04/09
したっぱ店員
57
女王という立場上、一つのことにのめりこまず、すべてのことにまんべんなく、あたりさわりなく…と勤めを果たしていたが、あるきっかけで読書好きになっていく。本を読むこと自体よく思われない日々の描写が興味深い。女王のお茶目な感じがイギリスっぽいユーモアを感じさせて良かった。まるで実話のようだけどフィクションだよね?と読み終えて確認してしまった。 余談ですが、年老いた侍従の描写が容赦なくてびっくりした。2024/09/13