出版社内容情報
スペイン文学の流れには、《スペイン的リアリズム》と並行して、驚異、怪奇、幻想的要素が脈々と生き続け、独特の精神風土に想像力豊かな、魅惑の作品群を開花させている。ベッケル、アラルコン、クラリン、バレラ、バリェ=インクラン、カステラオ、マトゥテら、12人の傑作を編んだ画期的短篇集。
内容説明
スペイン文学の流れには、〈スペイン的リアリズム〉と並行して、驚異・怪奇・幻想的要素が脈々と生き続け、独特の精神風土に想像力豊かな、魅惑の作品群を開花させている。ベッケル、アラルコン、クラリン、バレラ、バリェ=インクラン、カステラオ、マトゥテら、12人の傑作を編んだ画期的短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
88
スペインの幻想小説のアンソロジーです。14のさまざまな作品が収められていて結構楽しめました。幻想小説とはいうものの、童話的な作品あるいは恐怖小説などもありレイ・ブラッドベリを思い出させるような作品もありました。「サンチョ・ヒル」という作品が中編で読んでいて少し外れるのでしょうが「ドン・キホーテ」を思い出させるような気もしました。また「義足」などは日本のショートショートの作品を思い出させてくれます。「背の高い女」は恐怖小説です。2023/03/21
藤月はな(灯れ松明の火)
24
使用者が死んでもその骸骨を着けたまま、爆走する義足と言う、ぶっ飛ぶ奇想の「義足」から始まる本書に一気に引き込まれました。「僧房からの手紙」は信仰と傲慢と愚直に漬け込む黒魔術の誘惑というテーマで面白いのに第八書簡しか載っていません。他のも書簡も読んでみたい><「サンチョ・ヒル」は恋人をサタンから助けようとして浦島太郎のようになってしまった騎士の話ですが最後に救いがあったのはよかったです。「人形」はグリム童話風。「お守り」の因果関係が薄くても結びつけずにはいられない支配する「呪い」は恐ろしいです。2013/01/11
れどれ
5
語り口で大風呂敷を広げておいて、題材やお話の尻すぼみに気抜けを食らってしまうという作品の多い印象だったがそれでも充分面白かった。翻訳文もいずれも小気味よく気取らない程度に弾んでいる。惜しむらくは幻想…というジャンルのうちではややオカルト寄りであった。『人形』(フアン・バレラ)がブッとんでて好き。投げられて三四分中空を漂う人形のこっけいさにはうきうきした。『暗闇』(フェルナンデス・フローレス)は究極のパニック映画。しかも映像化絶対不能。小説でしか達成しえないシナリオの妙。2016/11/19
よしむら まどか
3
「義足」「人形」が面白かった。七色いんこに出てきそうなお話ばかり。2016/01/06
AR読書記録
3
わりと、カトリック教国スペインの印象に合うな...という話が多かったように思う。が、初めて出会ったイメージでびっくりしたのは、墓場から夜な夜な出てくる骸骨たちのなかにいる、「骨盤の内側にちっちゃな骸骨を隠し持っている」女の骸骨人間。骸骨がその回想記を棺桶のなかに残しているという設定にも目をむくけれども(「ガラスの眼」)。そして断然怖いのは「暗闇」、これは短編だけど、すんごい怖いパニック映画にできそうに思いますが。現代アメリカとかに置き換えても十分。2014/07/09
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- 和書
- 存在論的中絶