出版社内容情報
二十世紀前半に突如イタリア半島に出現し、ヒトラーのナチズムの原型となったムッソリーニのファシズム。この異常な独裁主義の生成と発展の過程を説きつつ、彼の生い立ち、栄光の時代を経て哀れな最期をとげるまでを詳述する。イタリア特有の歴史的風土のなかに咲いた徒花ムッソリーニの全貌を伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
7
ムッソリーニというより、イタリア統一に始まるファシズムの起源から第二次大戦敗戦までの、イタリア・ファシズム史概説という感じの本。地域対立と深い社会的格差、脆弱な経済、そして後発国故の低い国際的地位、様々な悪条件がファシズムを生み、育てた。そして満を持したようにムッソリーニが現れる。思想ではなく、手法である故に大衆を惹きつけるファシズム(敷居が低い!)の融通無碍さは、今でも変わらないだろう。ムッソリーニの悲惨な最期には、パルチザン側に色々都合があったらしいが、裁判にかけなかった事で闇に葬られた事も多かった2016/04/03
カール
2
イタリアファシスト党の来歴と誕生までの道のり。ムッソリーニが党に与えた影響を150ページ程でまとめる。ムッソリーニの半生を詳細に描いた伝記『ムッソリーニ 一イタリア人の物語』とは違い、ムッソリーニやファシズムには批判的。ムッソリーニについては伝記では孤独ながら超人的な偉人して描かれた男も、こちらでは野心家ながらも統治は行き当たりばったりで思想体系を持たず。腰抜けとまで酷評されている。イタリアファシスト党の栄枯盛衰を学べる良書だが、著者のバイアスもかかっていてファシズムそのものの学ぶ上では不十分でもある。2018/12/22
unpyou
1
ムッソリーニの思想についてまとまって書かれたものを読んだことがないので手に取ったが、本自体がファシズム史の梗概といった感じでムッソリーニ自身の内面にはあまり切り込まれておらず、機会主義的な人物だったのかなという印象のみ受ける。開戦前夜のイタリアが日本より一層貧しく、世界大戦など到底用意のない状況だった事は伝わってくる。彼の最期をめぐる記述で、参戦へ向かったムッソリーニの判断は裁判を通し分析されるべきであったが、パルチザンによる性急な処刑がそれを妨げてしまったという指摘があり、確かにそれはあるかもと思った。2015/05/17
ねろ2
0
内容としてはファシスト党の行ってきたこと等がメインなのでムッソリーニを知りたいという意味ではあまり参考になりません。2016/05/10
コラッジョ
0
ムッソリーニに関する簡単なパンフレットサイズの本。 古い本でもあるので、内容的にはあまり期待出来ない。2016/04/28